7節を終えて5勝2分で首位。勝負強さが光る。写真:徳原隆元

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[J1リーグ7節]神戸2-4広島/4月14日/ノエスタ

 ノエビアスタジアム神戸で行なわれたヴィッセル神戸対サンフレッチェ広島戦。前半が終わった時、スタンドにいた多くの人々が思ったに違いない。ついに広島の連勝が途絶えるのか、と。

 6節までわずか1失点という驚異的な堅さを誇っていた広島だったが、15分にウェリントンにヘディングシュートを浴びると、28分には古橋亨吾に一瞬の隙を突かれて、追加点を献上。前半のうちに、いずれもセットプレーからあっさりと、ふたつの失点を重ねた。

 相手DFがバックパスをミスしたおかげで、パトリックのゴールで辛うじて1点を返していたものの、前半は常にボールを握られ防戦一方だった。特にアンドレス・イニエスタには寄せても寄せてもヒラリとかわされ、虚を突くスルーパスでゴールに迫られた。前半だけを見れば、明らかに個の力量差を見せつけられた。

 それでも結果は4-2。後半の8分間で3ゴールを奪い、見事に逆転勝利を収めている。リーグ5連勝で首位だ。なぜ広島は負けないのか。
 
 試合の潮目が変わったのは、後半の60分過ぎ頃だった。早くトドメをさしたい神戸が追加点を狙って前傾姿勢になったのを逆手にとり、広島は分厚いサイドアタックでカウンターを仕掛けていった。すると、柏好文のヘディングで決めた65分の同点ゴールを皮切りに、70分、73分には渡大生の鮮やかなボレーシュート2発で一気に2点のリードを奪い、勝利を呼び込んでみせた。
 
 ただし、この豪快な逆転劇は偶然ではない。広島の試合運びの妙があったのだ。左ウイングバックでフル出場したキャプテンの柏は、以下のように振り返る。
 
「チームの中では3点目を取られないことを重要視していました。神戸はやはり得点力がありますし、3点目を決められるのと1点差でいくのは大きく違う。ただ守りながらも、チャンスは絶対に来ると、チームの中でしっかりとコミュニケーションが取れていました」
 
 最終的なポゼッション率は39.1諭聞島)対60.9諭平生諭砲如▲僖洪瑤441本(広島)と702本(神戸)と圧倒的にボールを握られた。それでも落ち着いて試合展開を読み、反撃のチャンスを待っていたのだ。
 そして、なにより素晴らしいのは、劣勢でも粘り強く振る舞えるスタンスをチーム全体で共有できていることだ。

 殊勲の2ゴールを決めた渡も、いつか来るであろう決定機のために集中を切らさなかった。「前半は何もなかったので、90分のゲームを考えた時に、自分が活きる時間帯を意識せざるを得ない状況だった。ただ、スペースが空く時間とゴール前に入れる時間が少しずつ増えてくるなという感じはあった」という。
 
 勝負強さの根源にあるのは、冷静に戦況を分析する精神的な余裕なのだろう。サッカーはメンタルスポーツ。平静なメンタリティは良い攻撃と良い守備を生む。
 
 セットプレーの課題が残った守備にしても、FKから喫した2失点以外に、流れの中から決定的なチャンスは多くは作られていない。
 
 柏が「当然と言えば当然ですし、それが今のこのチームのスタンダードだと思う」と言うように、城福浩監督が率いて2年目の今年、守備はより強固になっている印象だ。
 
 今季の広島には、早くも強者の風格が漂っている。その勢いは、そう簡単には衰えそうにない。

【神戸 2-4 広島 PHOTO】堅守の広島が攻撃力も発揮。4点を奪い逆転勝利を挙げる
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)