2019年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第3弾)

 2月以降、注目の前哨戦が次々に行なわれてきた3歳牡馬戦線。クラシック第1弾となるGI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)を目前に控え、その勢力図も年明け早々の頃とはガラッと変わってきた。

 まず「クラシック登竜門」と言われる東西の一戦は、いずれも注目の素質馬が制覇。西のGIIIきさらぎ賞(2月3日/京都・芝1800m)はダノンチェイサー(牡3歳/父ディープインパクト)が、東のGIII共同通信杯(2月10日/東京・芝1800m)はダノンキングリー(牡3歳/父ディープインパクト)が見事な勝利を飾った。

 ダノンチェイサーはGI NHKマイルC(5月5日/東京・芝1600m)へと向かうようだが、ダノンキングリーは同レースで2歳王者のアドマイヤマーズ(牡3歳/父ダイワメジャー)を一蹴。一躍、クラシックの有力候補に浮上した。

 その後、皐月賞の優先出走権が与えられるトライアルレースでは、波乱が続出した。”王道路線”となるGII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)では、8番人気のメイショウテンゲン(牡3歳/父ディープインパクト)が、GIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)では、10番人気のエメラルファイト(牡3歳/父クロフネ)が勝利。3歳牡馬戦線に混迷をもたらした。


若葉Sを楽勝して皐月賞に臨むヴェロックス

 一方、関西唯一のトライアル戦、若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)では、1番人気のヴェロックス(牡3歳/父ジャスタウェイ)が完勝。クラシックでも頂点を争う存在と見られている。

 そんななか、本命視されているGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)の覇者サートゥルナーリア(牡3歳/父ロードカナロア)は、皐月賞へ直行。有力各馬による直近での実力比較が見られず、やや混沌とした状態でクラシックへ突入することになった。

 こうした状況を踏まえつつ、皐月賞を間近に控えた3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』をここで発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックに挑む3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 前回に引き続き、トップはサートゥルナーリアとなった。ただ、今回は4ポイントダウン。それだけ、新興勢力にも警戒が必要、ということだろう。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「まだ本気で走っていないのでは? と思わせる余裕のある勝ちっぷりは世代ナンバー1の呼び声高く、ロードカナロア産駒でもストライドが大きい点が魅力です。折り合い、反応、切れ……と、すべてにおいて最高級のものをそろえており、父の代表産駒であるアーモンドアイを意識できる素材です。

 ホープフルSから皐月賞というローテーションとなりますが、普段の運動では勝ち気な面を見せており、馬体も緩まないタイプ。走らせると、しっかりと折り合って切れのある動きを連発しており、態勢は整っていると見ます。

 戦ってきた面々とは勝負付けが済んでおり、新興勢力も当馬のポテンシャルを脅かすレベルではありません。現時点での完成度を踏まえれば、春の二冠の可能性はかなり高いように思えます」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「”ホープフルSを勝った馬の年明け不振説”をどうこう言う前に、ホープフルSで負けた馬たちの、その後がパッとしない状況。そんななか、同馬も栗東には無事に戻って、皐月賞に向けて時計を出しているようですが、どこまでやれるのか。

 多少の不安はありますが、美浦で有力厩舎を取材中、『今年は角居(勝彦厩舎)のところの馬が強い』という声を聞きました。この週末、真価が問われると思います」


 2位は、ヴェロックス。今年に入ってからリステッド競走(重賞の次に重要なレース)となるオープン特別を連勝し、ランクアップした。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「前走の若葉Sは圧巻でした。過去、若葉Sにおけるこれほど高いTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)は、ちょっと記憶にありません。その指数を裏付けるだけの、強烈な勝ち方でした。やや頭の高い走りが気になりますが、皐月賞でも十分に勝ち負けが期待できます」

土屋真光氏(フリーライター)
「昨秋のGIII東京スポーツ杯2歳S(11月17日/東京・芝1800m)で4着に敗れて評価を落としましたが、あの結果は完全に不利を受けてのもの。不利がなければ、勝ったニシノデイジー(牡3歳/父ハービンジャー)にも肉薄できていたはずです。

 ここ2戦はともに少頭数のレースで、ゆったりとした流れが味方をしたようにも見えますが、どちらも取りこぼすことなく、しかも評判馬のライバルをきっちり破ってきたことは評価できます。皐月賞では、速くなりそうなペースと多頭数にどこまで対応できるか、でしょう」

 3位は、昨年末のGI朝日杯フューチュリティS(12月16日/阪神・芝1600m)を勝って最優秀2歳牡馬に輝いたアドマイヤマーズ。共同通信杯で苦杯をなめ、ひとつ順位を落とした。

市丸氏
「共同通信杯で初めて負けてしまいましたが、年明け初戦で、初の府中(東京競馬場)ということもあって、万全な出来ではなかったのでしょう。別定戦で勝ち馬より1kg斤量が重かったことも堪(こた)えたと思います。

 脚質的には中山のほうがいいでしょうし、200m延びる距離を克服すれば、皐月賞本番での逆転があっても不思議ではありません」

 4位は、3位アドマイヤマーズに初めて土をつけたダノンキングリーが圏外から一気にランクイン。サートゥルナーリアと同じく、3戦無敗でクラシックへと駒を進める。

吉田氏
「まだパドックでは引き手に甘えたり、チャカついたりする幼さがあり、馬体も尻高で、トモが薄っぺらいシルエット。心身ともにまだまだ成長途上の感がありますが、それでいて、この戦績を残せているのは素質の高さでしょう。

 斤量差が1kgあったといえ、アドマイヤマーズを一瞬にしてかわした瞬発力も圧巻でした。ディープインパクト産駒らしい軽さと切れが武器で、そういう舞台設定になれば、楽しみは尽きません。距離に関しても、前走のレースぶりから、同世代の芝2400m戦までなら克服できると踏んでいます。仕上げに手間取るタイプではなく、およそ2カ月ぶりの皐月賞でも注目です」

 5位は、ニシノデイジー。1番人気に推された弥生賞で4着に敗れ、ランキングを落とすことになった。

木南氏
「弥生賞は渋った馬場で、逃げた馬が内を開けて回る展開となり、この馬にとっては難しいレースになりました。ホープフルS(3着)に続く連敗で評価を落とすかもしれませんが、弥生賞はあくまでも本番に向けた予行演習。差のない4着だったわけですし、皐月賞に向けては上積みも確実にあると思います」 牝馬クラシック第1弾の桜花賞では、1番人気のダノンファンタジーが4着に敗れて、やや波乱の結末となった。はたして、皐月賞はどうなるのか。上位混戦模様で、思わぬ結果が待ち受けている可能性は大いにある。