少子高齢化や核家族化が進む現代では、遺産をめぐる争いの数は確実に増えている。なかには、死後に隠し子の存在が発覚し、遺産争族が複雑化するケースも。一般家庭の事例を例に、相続問題について学ぶ。

 冒頭の図のケースでは、夫が亡くなった後に、夫に隠し子がいたことが発覚。しかも戸籍を転籍して、隠し子を認知していた。その後、元の戸籍に移す裏技を使っていたため、妻と長男にはわからなかった。

「この事例には、私も驚きました。この男性は、よくこんな方法を考えたなというのが、正直な感想ですね」(相続問題に詳しい木野綾子弁護士、以下同)

 高齢者の遺産目当てに、結婚を繰り返す「後妻業」が話題になったが、結婚、離婚歴を消し、戸籍をきれいにする手法がある。

「『戸籍ロンダリング』といわれるケースです。マネーロンダリングと同じ、戸籍の浄化ですね。故人の男性は、どうしても隠し子だった長女に、遺産を残したかったのでしょう。

 ふつうに認知をしたら、戸籍上に表記され、妻と長男に知られてしまう。でも、認知をしないと自分の子供だとは認められない。なんとか家族に知られずに認知できないかと、専門家に相談したのでは。

 これまで戸籍を作ったことのない市区町村に戸籍を移す「転籍」をしてから認知し、また元の場所に戸籍を移すと、認知の記載が消えます。そのため、戸籍に詳しい人が見ない限り、転籍前の戸籍と比べても、まったく違いがわかりません。

 戸籍をまめに取る、というのが防御策ですが、このようなケースは、専門家が見ないとわからないので、難しいですね」

 こうした特殊ケースも含め、ここ数年で相続の相談は後をたたないという。

「人生100年ならお金は必要と、権利を主張する人が増えました。ただ、聞きかじりで行動すると、取り返しのつかないことになる場合もあります」

 夫婦も兄弟も「争族」の時代。げに恐ろしきはカネということか。

(週刊FLASH 2019年2月26日号)