3歳牝馬クラシックの初戦、GI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月7日に行なわれる。

 昨年は、年明けのシンザン記念(京都・芝1600m)から直行という、異例のローテーションで挑んだアーモンドアイが優勝。大外から悠々と他馬をかわしていった姿に、見ている誰もが度肝を抜かれた。

 以降、同馬はオークス(東京・芝2400)、秋華賞(京都・芝2000m)も勝って、史上5頭目の牝馬三冠を達成。その後も、ジャパンカップ(東京・芝2400m)を制し、先日はドバイターフ(UAE・芝1800m)まで完勝して、世界トップクラスの馬へと登り詰めた。

 しかし、そんなアーモンドアイも当時は2番人気だった。1番人気は、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)の覇者で、桜花賞まで4戦無敗できたラッキーライラック。単勝1.8倍と、断然ムードだった。

 そういう意味では、アーモンドアイの勝利も大方の予想を覆(くつがえ)すものだったわけだ。

 それを考慮すると、”堅い”イメージがある桜花賞も意外と波乱が多い。過去10年の勝ち馬を振り返ってみても、2013年のアユサン(7番人気)、2015年のレッツゴードンキ(5番人気)、2017年のレーヌミノル(8番人気)と、伏兵陣がしばしば金星を挙げている。

 ということで、今年も番狂わせが起こることを願って、ビッグな馬券をもたらしてくれる立役者を過去のデータから探し出してみたい。

 まず注目すべきは、最も重要視されているトライアル、GIIチューリップ賞(阪神・芝1600m)組だろう。

 桜花賞過去10年の1〜3着馬、計30頭のうち、半数を超える19頭(※)がこのレースから挑んでいる。もちろん、その中には穴馬も多数いる。
※チューリップ賞出走馬は20頭だが、2010年の2着馬オウケンサクラはチューリップ賞(4着)のあと、フラワーC(1着)を経て桜花賞へ

 その穴馬の中で目立つのは、チューリップ賞で好走しながら、人気が上がらなかった馬だ。いい例が、先述のアユサン。同馬はチューリップ賞で3着と善戦するも、7番人気の低評価に甘んじた。

 その他、2010年に3着となったエーシンリターンズ、2014年に3着となったヌーヴォレコルトも、それぞれチューリップ賞で3着、2着と好走していたが、前者が11番人気、後者が5番人気と低評価だった。

 本番と同じ条件で行なわれ、有力馬の出走も多いトライアル戦だけに、本来このレースで上位に来た馬は無条件で”買い”だ。

 そこで、今年のチューリップ賞(3月2日)だが、1着ダノンファンタジー、2着シゲルピンクダイヤ、3着ノーブルスコアという結果だった。本番でも1番人気が濃厚なダノンファンタジーは別として、2、3着馬は人気上昇の気配はなく、どちらにも食指が動く。


チューリップ賞で2着と好走したシゲルピンクダイヤ

 ともに狙い目であるが、先例であるエーシンリターンズ、ヌーヴォレコルトは、2走前にも勝っていてチューリップ賞でも好走した。そうした直前の勢いを加味して、同じく2走前に勝っているシゲルピンクダイヤをここでは推したい。

 同馬は、2戦目の未勝利で初白星。そこから4カ月の休養を挟んで挑んだチューリップ賞でいきなり2着と奮闘したのだ。

 休み明けでこれだけのパフォーマンスを見せたのは、素質が高い証拠。しかも、まだキャリア3戦と、本番までの伸びしろも大いに見込める。同じ舞台で、再びファンをあっと言わせる激走を見せてもおかしくない。

 さらに、”チューリップ賞組”による穴馬パターンはもうひとつある。ここで敗戦して人気を落とした馬の激走だ。

 顕著なのは、2015年。7番人気で2着となったクルミナル、8番人気で3着となったコンテッサトゥーレは、ともにチューリップ賞で敗戦し、人気が急落していた。

 チューリップ賞では、クリミナルが1番人気、コンテッサトゥーレが4番人気に推されて上位争いを期待されたが、クリミナルは人気を大きく裏切って11着と惨敗。コンテッサトゥーレも伸び切れずに6着と敗れて、一気に評価を落としてしまったのだ。

 ちなみに、同年の勝ち馬レッツゴードンキも、2番人気で臨んだチューリップ賞で3着となり、本番では5番人気と伏兵扱いにとどまった。

 まだ成長途上で不安定な3歳牝馬である。そんな彼女たちを、ひとつのレースの結果だけで評価するのは禁物、ということだ。逆に言えば、それが波乱を呼ぶのだろう。

 そして今年、同様のケースで面白そうなのは、シェーングランツだ。

 昨秋のGIIIアルテミスS(10月27日/東京・芝1600m)を勝って、年末の阪神JFでも僅差の4着と健闘した。世代上位の1頭と見られ、前走のチューリップ賞でもダノンファンタジーに続く2番人気に推されていたが、直線で伸び悩んで5着。本番での逆転要素は見出しにくく、人気落ちは免れない状況だ。

 しかし、オークス馬ソウルスターリングを姉に持ち、もともとの能力が高いことは確か。過去の例にように、高配当につながる巻き返しがあっても不思議ではない。

 最後に別の視点からも穴馬を探してみたい。

 冒頭で触れたアユサン、レッツゴードンキ、レーヌミノルら、金星を挙げた3頭に注目してみると、3つの共通点があった。「新馬勝ち」「東京の重賞で善戦」「オープン&重賞に3走以上出走」である。

 実は、この条件をクリアしている馬が今年もいた。ビーチサンバとアウィルアウェイである。どちらも捨て難いが、高配当狙いに徹するなら、アウィルアウェイだろう。

 同馬は新馬戦を快勝。3戦目のGII京王杯2歳S(東京・芝1400m)で2着となって、東京の重賞レースでも好走している。そして、同レースを含めて、2戦目のオープン特別・ダリア賞(1着。8月4日/新潟・芝1400m)、前走のGIIフィリーズレビュー(7着。3月10日/阪神・芝1400m)と、オープン&重賞レースを3戦経験している。

 今回は、1番人気に支持されたフィリーズレビューで7着と敗れて大きく人気を落としそうだが、同レースは一頓挫あって、およそ4カ月ぶりの実戦だった。それを考えれば、勝ち馬からコンマ3秒差は悪くない。ひと叩きしての上積みも見込め、大一番でリベンジを果たす可能性は十分。過去に金星を挙げた3頭同様、一発もある。 令和の時代を前にして、鮮やかな桜吹雪を巻き散らしながら行なわれる、乙女たちの熾烈な争いに注目したい。