J-CASTニュースの取材に訴える女性

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ヤマト運輸でパート社員として働いていた女性が、職場でのセクハラを会社側に訴えたのち「雇い止め」にあったと主張している。対して会社側は契約終了との関係を否定、両者の主張は平行線をたどっている状況だ。

2019年3月、J-CASTニュース編集部は女性、また会社側などにも話を聞いた。

同じ職場の男性から「セクハラ」

女性が相談した労働組合の首都圏青年ユニオン側によると、女性は2018年7月ごろから仕事を始め、都内の倉庫で仕分け作業をしていた。派遣社員やアルバイトをへて9月ごろパート社員になったとたん、日常的にセクハラを受けることになったという。「一緒にいる時間が長くなってしまって、女性は私だけ」(被害を訴える女性)。パート社員は女性含め3人で、うち2人は女性よりも勤続年数の長い男性。このうちの一人からセクハラを受けるようになった。

事務所で男性と2人で作業をしていた際、入ってきた別の男性に対し、「(女性と)子ども作っちゃうところだったよ」と発言された。この男性からは「もうすぐ射精しそうだよ。白いのが出る」などと言われることもあったという。女性は「2カ月くらいで早く(パート)社員になっちゃったから、ひがまれていたところもある。いやだったんだと思いますよ」と語る。

その後、女性はツイッターで首都圏青年ユニオンの存在を知って相談。2019年1月上旬に団体交渉が始まった。

団交とほぼ同タイミングに契約終了

ユニオンなどによると、会社側は団体交渉の場で「子ども作っちゃうところだったよ」という発言について、「(女性が)その場にいて耳に入っていたと思います。直接言ったことはないということですけども、発言につきましては会社としてはハラスメント行為であると認識しています」と認めた。「もうすぐ射精しそうだよ」などと言われたことについても、「言葉の記憶は少し曖昧ですが、少し表現は違うと思います。近いことは発言していた。(男性の)場を和ませようとする気持ちから、そのような発言をしたと言われたが、セクハラ発言されたということと同様に、会社としてはハラスメント行為であると認識します」とした。

一方、上司の対応については、不十分とするユニオン側と、問題はなかったとする会社側との間で見方が分かれた。

こうした中で、会社側は、1回目の団体交渉とほぼ同時期に、女性に対して「雇用契約終了の通知」を送った。通知には「2月15日をもって、期間満了により終了」と書かれている。ユニオン側の抗議に対し、会社側は女性の仕事ぶりに、荷物を破損させるなど「業務遂行上、看過しえない問題行動が散見された」ことが理由だとして、組合加入や団交を理由にしたものではない、と主張した。

女性は取材に対し、「(ハラスメントを)認めて雇い止めですかね。意味がわからない」と訴え、ユニオン側も「セクハラ告発したことを理由にして雇い止めしたとしか考えられない」と主張。今後も、団体交渉や会社前での抗議活動も検討している。

ヤマト側「事実関係の一部に重大な相違がある」

J-CASTニュース編集部では3月12日、ヤマト運輸広報戦略部の担当者に書面で回答を申し込み、翌13日に文書で次のような回答を得た。

「首都圏青年ユニオンさま、並びに当該社員の方が主張する事実関係と、
当社が現在把握している事実関係の一部に重大な相違があることなどから、
詳細に関するコメントは差し控えさせていただきます。
当社と致しましては、今後の団体交渉等を通じて、
当社の見解を示しているところであり、今後とも適正に対処してまいります」

担当者に「重大な相違」について聞いたが、「団交をさせていただいているところなので、具体的なコメントは現時点では差し控えさせていただきたい」、セクハラがあったかどうかなどについては「その辺も含めて、お送りさせていただいた以上のコメントは控えさせていただきたい」とそれぞれ話した。

後日、改めて会社側に、団交の場での詳細なやり取りについて聞いたが、明確な回答は得られなかった。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)