2019年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第3弾)

 3歳牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)がいよいよ間近に迫ってきた。


阪神JFではダノンファンタジー(中央)がクロノジェネシス(右)との叩き合いを制した

 その前哨戦においては、昨年末に行なわれたGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月9日/阪神・芝1600m)で2着だったクロノジェネシス(牝3歳/父バゴ)が、GIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)で1番人気に応えて快勝。阪神JFを制して2歳女王となったダノンファンタジー(牝3歳/父ディープインパクト)は、本番と同じ舞台で行なわれたGIIチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)で難なく勝利を飾った。

 既成勢力が力を示す一方で、新興勢力も東西のトライアル戦で躍動して見せた。関西のGIIフィリーズレビュー(3月10日/阪神・芝1400m)では、ノーワン(牝3歳/父ハーツクライ)とプールヴィル(牝3歳/父ルアーヴル)が鋭い決め手を見せて1着同着。大一番で、有力どころを脅かす存在として名乗りを挙げた。

 関東では、オープン特別のアネモスS(3月10日/中山・芝1600m)をルガールカルム(牝3歳/父ロードカナロア)が、GIIIフラワーC(3月16日/中山・芝1800m)をコントラチェック(牝3歳/父ディープインパクト)が勝利。クラシックへの出走権を手に入れた。

 こうして3歳女王の座を争う舞台への役者はそろった。これらのことを踏まえて、桜花賞目前での『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックに挑む3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、2歳女王のダノンファンタジー。最も重要視されるトライアル戦を勝って、あらためて貫禄を示した。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「チューリップ賞は、馬の能力を信頼し、インからさばく競馬。(直線で前が壁になって)取りこぼしてもおかしくないレースを見事に勝ち切りました。2歳女王が万全のステップで本番に向かうことになります。

 昨年は、ダノンプレミアム(※本命視されていた皐月賞を負傷で回避)で悔しい思いをしている陣営(馬主=(株)ダノックス、厩舎=中内田充正ともに同じ)。クラシックへの思いは相当強いと思います」

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「チューリップ賞は、完勝でした。前半やや掛かり気味で、この馬としてはかなり前の位置からのレースとなりましたが、本番を前にして”ガス抜き”ができたと考えれば、むしろプラスかもしれません。

 対抗と目されているクロノジェネシスは阪神JFで破っていますし、唯一敗れているグランアレグリア(牝3歳/父ディープインパクト)はぶっつけ。その雪辱を果たして、ダノンファンタジーが桜花賞制覇――それが、最も現実的なシナリオではないでしょうか」

 2位は、クロノジェネシス。前回と同じだが、クイーンCをきっちり勝ったことで、さらに評価を上げた。

市丸氏
「著しい成長を見せているクロノジェネシス。阪神JFは出遅れが痛かった。クイーンCではゲートをポンと出て、前目の好位につけても折り合いは完璧でした。追い出しを待つ余裕がありましたし、2着ビーチサンバ(牝3歳/父クロフネ)とはクビ差でしたが、着差以上の完勝でした。本番では、阪神JFで敗れたダノンファンタジーの逆転を虎視眈々と狙っているでしょうね」

本誌競馬班
「阪神JFで惜敗したあと、クイーンCを快勝。ビーチサンバに迫られても、手応えに余裕があった点には好感が持てます。早くから完成していたダノンファンタジーに比べて、こちらのほうに伸びしろを感じます。本番では逆転があっても……」

 3位も、前回と同じくグランアレグリア。ただ、昨年末のGI朝日杯フューチュリティS(3着。12月16日/阪神・芝1600m)からぶっつけで桜花賞に向かう分、その評価にも半信半疑な面があることは否めない。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「この時期の3歳牝馬には、長距離輸送による疲れや馬体減りはもちろん、環境の変化に対応ができるかなど、配慮しなければいけない課題がたくさんあります。とりわけ関東馬にとって、桜花賞へのローテーションや調整過程に気を配るのは当然のことでしょう。関東圏に適したレースがなく、チューリップ賞を使って、桜花賞で3度目の関西遠征を強いることになると、パフォーマンスが落ちる可能性があります。

 そういう意味では、グランアレグリアのこのローテーションには納得がいきます。それに、デビュー戦を快勝後、同じく4カ月ぶりに挑んだGIIIサウジアラビアロイヤルC(1着。2018年10月6日/東京・芝1600m)の内容からしても、この間隔は問題ありません。

 3月15日から美浦の坂路で時計を出し始めて、(この中間は)素軽い脚取り見せており、その調整過程は前述のサウジアラビアRCに臨む前と酷似。同馬の気性を踏まえても、いきなり能力全開の態勢に持っていけそうです。新馬戦で2歳女王を問題にしなかった”素質”を信頼したいと思います」

土屋真光氏(フリーライター)
「桜花賞へのぶっつけローテを選択したのは、過去における関東馬の敗戦の経験によるものでしょう。特にこの馬を管理する藤沢和雄厩舎は、ソウルスターリングで悔しい思いをしていますからね(※2017年の桜花賞。阪神JF、チューリップ賞と連勝して絶対視されるも3着)。

 気になるのは、馬体重。できれば、桜花賞当日は、前回と同じか、もしくは多少マイナスで臨みたいところ。もしこれで増えているようなら、成長よりも”太め残り”を疑ったほうがいいかもしれません」

 4位には、フラワーCを完勝したコントラチェックが浮上。ただ、桜花賞はスキップして、GIオークス(5月19日/東京・芝2400m)へ直接向かう見込みだ。

木南氏
「GIIIフェアリーS(1月12日/中山・芝1600m)を除外されたあと、500万下の菜の花賞(1月20日/中山・芝1600m)では後続に3馬身差をつける押し切り勝ち。レース後、鞍上のクリストフ・ルメール騎手が『(除外になった)重賞に出ていれば、勝ったと思う』と絶賛していました。

 そして、その言葉を証明したのが、フラワーCの圧勝。丸山元気騎手が手綱を取って、あっさりと逃げ切り勝ちを収めました。生産牧場のノーザンファームが、この母系の現役馬を海外で購入していることを考えても、同馬への期待の高さがうかがえます」

市丸氏
「フラワーCで3勝目を挙げましたが、勝ったときはすべて逃げ切り。桜花賞をパスしてオークスへと直行するようですが、オークスでは逃げるのか、あるいは好位からのレースになるのか。勝ち負けを演じるには、そのあたりが大きなポイントになるのではないでしょうか。姉にオークス3着馬で、中距離重賞3勝のバウンスシャッセがいるので、距離は問題ないと思います」

 5位は、前回4位のラヴズオンリーユー(牝3歳/父ディープインパクト)。2戦2勝とはいえ、賞金的に桜花賞出走は厳しい状況にある。オークスに向かうとしても、長期休養明けでステップレースを制すことができるのか、不安は尽きない。

吉田氏
「母ラヴズオンリーミーは、海外GIドバイターフ(UAE・芝1800m)を勝ったリアルスティールを含め、3頭のオープン馬を出している名牝。その子ラヴズオンリーユーは、少し内股でトモを回す走りを見せますが、エンジンが掛かってからの加速と爆発力は相当なもの。そこは、血統がなせる業でしょう。

 全兄リアルスティールと似たようなバランスの馬体を誇り、クッション性などはその兄よりも優れています。体質がパンとすれば、大きいところを狙える素材です。ミルコ・デムーロ騎手が騎乗した3月20日の追い切りでは、さすがの走りを披露。今後の動向に注目です」 大きな変動は見られなかった3歳牝馬ランキング。そうした評価と同様、桜花賞では既成勢力が上位を占めるのか。それとも、そんな既成勢力を蹴散らす新たなヒロインが登場するのか。注目のゲートインは、まもなくである。