不慣れなCFにも徐々に対応した鎌田のプレーは収穫のひとつだろう。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 クラブと代表は、似て非なるものだ。
 
 代表チームの活動期間は短く、練習も試合も少ない。また、対戦相手は南米、アジア、欧州、アフリカなど、バラエティー豊かだ。スタイルが全く違う。今回、コロンビアのFWラダメル・ファルカオからコメントがあったが、彼らからすれば、「日本と韓国のサッカーは似たスタイル」だと言う。我々自身は違うと感じているが、世界の途方もない広さからすれば、同じグループに分類されるのだろう。
 
 それだけに代表チームで戦うときには、普段のリーグでは全く見たことがない類の選手、あるいは戦術を持ったチームと、対峙する覚悟が必要になる。その未知の試合に、いかに早くフィットするか。それは代表選手として、最もベーシックな資質と言っても過言ではない。
 
 森保監督はキリンチャレンジカップの2試合で『全員起用方針』を貫いてきた。招集した選手は、第3GKを除き、全員をピッチに送り出す。しかも、アディショナルタイムの数分とか、ケチなことは言わず、スタメンからドーンと出す。

 このような起用法は、チームのあらゆる場所から意見が出る、全員参加型チームを作るマネージメント上もメリットだが、もうひとつは、上記で言及した『代表選手としてのベーシックな資質』を見る場としても活用できる。
 
 たしかに、普段やっていない選手と連係するのは難しい。普段やっていないポジションでプレーするのも難しい。普段やっていない相手と戦うのも難しい。だが、それを理由に自分のパフォーマンスを出せないとすれば、その選手は代表向きではない。
 
 その意味で、ボリビア戦では何人かの選手が、良いリアクションを見せた。ひとりは橋本拳人だ。前半はビルドアップ時のポジショニングで迷子になる様子があったが、後半、センターバックからの持ち運びが増え、小林祐希(柴崎岳)が一列前へ行くようになると、役割が明確になった。中盤のヘソを担当し、カバーリングやカウンター潰しで機能した。尻上がりに試合にフィットしたことは、代表選手としての資質をアピールしたと言える。
 もうひとり、鎌田大地にも非常に良い印象を受けた。
 
「人生初」と語る1トップで起用されたが、自分がやるべきプレーを賢く見つけていた。このチームにおける1トップの役割は、2列目を生かすこと。味方が縦パスを入れるタイミングで、サッと隙間に顔を出すセンスは、大迫勇也を彷彿とさせる。そこからのフリック、サイドへの展開など、テクニックは折り紙付きだ。特に68分、南野拓実が投入されてからの鎌田はすばらしく、そこに大迫がいるような気さえした。
 
 大迫と鎌田は、特徴の半分が重なる。もちろん、鎌田は大迫のようにDFを背負い、柔道のごとく相手の力を利用して入れ替わるなど、球際の芸当は真似できない。身体も張らない。しかし、ボリビア戦のように相手が守備を固め、日本が押し上げて人数をかける試合など、シチュエーションを限定すれば、鎌田は大迫を彷彿とさせるクオリティーを見せる。これは大きな手応えだ。
 

 本来の鎌田はトップ下の選手で、日本代表では1トップで起用された。逆に大迫の場合は、日本代表では絶対的な1トップで、ブンデスリーガではトップ下で起用される。ポジションに惑わされず、世界の広さから見れば、実はふたりは同じグループかもしれない。味方との連係、対戦相手の特徴次第では、同じようなプレーをする。
 
 何より、そういうプレーを見つけて即時実践した、鎌田のインテリジェンスがすばらしい。この収穫は今後、W杯アジア予選などで効いてくる。
 
 その一方、ちょっと残念だったのは、鎌田がベルギーで磨いている、クロスに対してゴール前に入っていく得点力が見られなかったこと。シント=トロイデンでは1トップなどのFWがいて、その後ろから飄々とゴール前に入り、ワンタッチゴールを決めているが、今回の日本代表では鎌田自身が1トップで起用されたため、自分の前でつぶれ役になるFWがいない。鎌田の得点力は、楽しみにしていた部分でもあったので、それが影を潜めたのは、やや残念だ。
 
 日本が押し込む展開で南野拓実とのコンビを試すか、あるいは鈴木武蔵と組むことで、その辺りの得点力も出てくるかもしれない。

 ボリビア戦は収穫の少ない試合だったのだろうか。私はそうは思わない。放物線の上昇を描く前は、だいたいこんなものだ。
 
取材・文●清水英斗(サッカーライター)