ベトナムの不動産トラブル裁判で ご近所も巻き込んだ末に逆転勝利!

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ベトナム在住17年の中安昭人さんが、5年前に経験した大家との不動産トラブル。すでに過去のことと諦めていたところに、突然、その大家が自宅までやってきた。そして、思わぬ展開に……。何が起こるかわからないベトナムならではの体験談です。

 以前に本コーナーの中で、ベトナム人の大家さんと裁判をして、完全勝訴したにもかかわらず、返してもらえるはずのお金が戻ってこなかった、という体験談を紹介した。ところが、ひょんなことから、諦めていたお金を取り戻すことができたのである。今回はその顛末を紹介したい。

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 まず以前の事件について、簡単におさらいをしておこう。会社を引っ越しすることになり、一軒家を借りることにした。新しい大家と契約をして権利金を支払ったのだが、大家側から契約を破棄。我々は、返してもらえるはずの権利金の返還を要求したが、拒否されてしまった。そこで裁判に持ち込み、完全勝訴を勝ち取った。

 ところが大家はそれでも返金を拒否し続けたのだ。裁判所は「判決を下すまでが仕事」、弁護士は「勝訴を勝ち取るまでが仕事」と言い、動いてはくれない。お金を取り戻すには、自ら大家と交渉しなければならないのだが、いろいろな状況を考えて断念した。これが前回ご紹介した体験である。

5年前の悪夢が再び

 ある日、私が仕事から帰宅すると、同居している義理の母が、
「昼間、あなたを訪ねてお客さんが来たわよ」
と言う。やってきたのは年配のベトナム人男性。彼は義母にこう伝言を残していた。

「あなたの義理の息子さんは、私の持っている家を借りようとして、改装工事を行い、私の物件に大きな損害を与えた。それを弁償してもらう必要がある。彼の携帯電話に連絡をしたのだが、電話に出ないので、わざわざここまで訪ねてきた。この件に関して話がしたいと、彼に伝えてくれ」

 それを聞いてすぐに脳裏に浮かんだのは、5年前に裁判で争った例の大家の顔である。

 万が一、大家から電話があったら分かるように、彼の番号は今でも携帯電話のメモリに登録したままにしてある。確かに不在着信は1本記録されていたが、そこに表示された番号は、大家のものではなかった。しかし携帯電話を複数持っているのかもしれないし、買い替えて番号が変わったのかもしれない。

 私は義母と妻に事情を説明し、
「とにかく、何をするか分からない非常に危険な人物だから、注意するように」と言った。

 我々の移動手段はバイクである。彼が自宅の場所を突き止めたということは、この付近で待ち構えて何らかの実力行使に出る可能性は否定できない。恨みを持った相手のバイクを追走し、追い越しざま、棍棒で後頭部を殴ってバイクを転倒させ事故に見せかける、というような荒っぽい手口をとる輩の話を聞いたこともある。私はともかく、妻には通勤にタクシーを使ってもらうことにした。

 対応方法を考えあぐねた私が連絡しないでいると、彼は翌日も自宅にやってきた。家人は全員出払っており、義母が帰宅したときには、門に置き手紙が残されていたという。

 それだけでは足りないと思ったのか、さらに夕方には自宅に電話をかけて来て、応対に出た義母に、私のせいでどれだけ迷惑を受けたかを、延々と訴えたそうだ。コピー用紙を乱暴に折りたたんだ手紙の中身を見ると、「ここに連絡をせよ」と、彼の電話番号が書かれていた。

 それにしても、彼はどうやって、私の自宅の住所を知ったのだろう。こういうことが起こらないように、私の自宅の住所は極力、外に出さないようにしている。

 実際、以前に裁判をしていたときには、彼は私の自宅の住所を知らず、会社にウソの電話をかけて、何とか住所を聞き出そうとしていた。もっとも本気になれば、調べる方法などいくらでもあるのだろう。

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