写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保一監督が就任し、日本サッカーは明確に新しい時代に突入した。
 
 アジアカップ決勝ではスタメン全員が海外組だったが、今回のボリビア戦のスタメンは香川真司と乾貴士を除けば、すべてのフィールド・プレイヤーがJアカデミーを経由している。もちろんかつての中村俊輔や本田圭佑に象徴されるように、依然としてユース昇格を逃した選手たちが日の丸をつける状況を見れば、手放しの称賛とまではいかないが、日本でもそれなりにエリート育成のノウハウが蓄積され、海外に進出できる人材を輩出できるようになった証左とも言える。逆に森保監督が4年後のワールドカップでロシア大会以上の成績を狙うなら、新戦力は将来海外で活躍できるポテンシャルの持ち主を発掘するべきで、本来この趨勢を考えればベテランのJリーガーを試すのはナンセンスだ。おそらくもし外国人監督を招聘していれば、そういう人選に傾いたに違いない。
 
 だが国産の指揮官は、やはりすべての日本人フットボーラーに希望を与えたいと考える。「まだまだ日本には、こんなに素晴らしい選手たちがいることを証明したい」と、年齢やキャリアを問わず、就任以来あらゆる可能性を丹念に再確認してきた。
 
 ところが結論から言えば、この連戦は、むしろスタメンと次候補の断層をくっきりと浮き上がらせることになった。
 
 最近は大迫依存がクローズアップされて来たが、それ以上に今回は中島翔哉、南野拓実、堂安律の三銃士への依存の深さも明白になった。2列目には彼らを突き上げる若いタレントも成長しているので将来の展望はともかく、コパ・アメリカは相当に厳しい戦いを覚悟する必要がある。
 
 森保監督は、良く言えば選手に優しい。どんなにチームの状況が悪くても、前半だけで選手を代えてしまうことはない。ただし反面、必然的に決断は遅れ勝機は遠退く。試合中の判断だけではない。人選も非情にはなれない。思い入れのある選手には、なんとか結果を出させてあげたいとの願いが滲み出る。これは育成段階や、まだ日本に人材が不足していたアマチュア時代やプロ草創期なら重要な指導者の資質だった。だが時代は流れ、今では選手たちの覚悟も違う。一気に競争率が激化したセンターバックは、20歳の冨安健洋がレギュラーに定着すると、板倉滉や中山雄太も欧州へと移籍した。欧州で活躍できなければ、日本代表にも定着できないという志の表われだ。
 
 選手たちが、そういう高い意識を持つ以上、指揮官もそれに応える必要がある。やはり宇佐美貴史も柴崎岳も、期待値ではなく現況で判断しないと公平な競争原理が成り立たない。所属クラブで出番を得られない柴崎が不可欠なら、JFAも一緒に後押しして状況好転に努める必要がある。
 結成半年で選手を見極めている段階なので、GK以外の招集選手を全員使ったことは評価出来る。しかもヴァイッド・ハリルホジッチ監督とは違って、すべて適性ポジションで起用した。新しい収穫もあった。鎌田大地はゼロトップ型FWとして上下動してボールを引き出す可能性は見せたし、橋本拳人も今までのラインナップにない球際の強さをアピールした。ヘーレンフェーンのスタメンでプレーし続ける小林祐希は想定通りの安定を示し、人材難の左サイドバックでは安西幸輝の活力が救いだ。親善試合なので、リトマス試験紙のデータ収集に主眼が置かれる。ただし本当に「勝つことにこだわる」なら、特にボリビア戦は、既に十分なデータを取得済みで不十分なパフォーマンスの選手は、もっと早く見切りをつける必要があった。
 
 現実的には、招集制限の厳しいコパ・アメリカで結果を望むのは難しい。ただし改めて現状を見る限り、そこでベテランを再招集して辻褄を合わせるなら、ひとつでも多くの原石を磨くことを優先した方が良さそうだ。
 
取材・文●加部 究(スポーツライター)

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