ボリビア戦ではキャプテンマークを巻く。決定的な仕事はできなかったが、責任感を強めた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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「ガラリと景色が変わった」
 
 香川真司は約9か月ぶりに代表復帰を果たした3月シリーズで、これまでにない感覚を味わっていた。それは、香川に大きな変化をもたらす転機となるかもしれない。
 
 端から見れば、インパクトを残せたとは言い難い。65分から途中出場したコロンビア戦、先発出場したボリビア戦、いずれも決定的な仕事はできなかった。

 試合前、モニターの映像とともにアナウンスされる選手紹介の際に、スタジアムからひと際大きな歓声が上がっていたのが、香川の名前が呼ばれる瞬間だった。しかし背番号10をつけたアタッカーは、その大きな期待に応えることができないまま、所属のベジクタシュがあるトルコへ帰ることになるのだ。
 
 とりわけ悔やまれるのが、消極的な姿勢。2試合を通じて香川が放ったシュートはコロンビア戦の1本のみ。ボリビア戦では先発出場しながら、シュートチャンスを得られなかった。
 
 代表デビューや出場2試合目の選手も多く、チームとして機能しなかったエクスキューズがあったとしても、やはりトップ下あるいはシャドーストライカーのポジションを担う香川の迫力不足は否めなかった。
 
 香川自身、この2連戦について「シュートであったり、そこまでいく局面だったり。そこは物足りなかった」と反省を述べている。

 24歳の中島翔哉が2試合で5本のシュートを放ち、そのうちの1本を得点につなげれば、20歳の堂安律もコロンビア戦の前半に果敢にミドルシュートを打っていた。そんな若手の躍動を見て香川は「どんどん仕掛ける姿勢はチームの武器になっている。それがこの半年間築き上げてきたチームのストロング。その積極性は良い姿勢だと思う」と称賛する。
 
 若手の台頭を肌で感じたからこそ、「自分の良さはまた違ったところにあると思うので、それは忘れずにやっていきたい」と信念を貫く一方で、悔しさも少なからず抱いたに違いない。
 
 ただし香川にとって、“沈黙”したコロンビア戦とボリビア戦を含めたこの9日間にわたる代表活動は、決して無駄ではなかっただろう。
 香川はこの9日間に渡った代表活動を、以下のように総括する。
 
「非常に刺激的で、色々考えさせられるものがあったし、変わってきていることがある」
 
 変化のひとつが自分の立ち位置だ。それはレギュラーやサブといったチーム内における自分の序列という意味だけではない。
 
「この合宿が初めてでしたね、年上の選手がいないというのは。ガラリと景色が変わったところがあった。逆に今までの景色が当たり前だと思っていた。今までいた人たちの存在感というのはやっぱり途轍もなくあったんだなと非常に感じた。
 
 また新たなチームになったわけで、監督も代わって、若い選手もどんどん入ってきた。そういうなかで今後自分自身がこのチームで結果を残して、このチームにどう貢献していけるか、そのための経験になった。そういうところは変えていかなければいけないところでもあるし、やらなければいけないことでもあると思います」
 
  2008年の5月に初めて国際Aマッチデビューを飾った香川は、昨年のロシア・ワールドカップまで、5歳上の長谷部誠や2歳上の本田圭佑をはじめとする様々な先輩と代表活動をともにしてきた。
 
 ところが、長谷部と本田はすでにA代表引退を宣言。今年3月17日に30歳を迎えてベテランの域に差し掛かっている香川は、森保体制となって若返りが図られた現チームでは、先輩の立場となる。
 
 今回の3月シリーズのメンバーでは、負傷中の長友佑都=32歳などが不在。香川は23人のうち4番目の年長者だった(香川よりも年上は、東口順昭=32歳、西大伍=31歳、乾貴士=6月生まれの30歳)。