基本的には(スタメン)総入れ替えで臨むつもりだが、予定ということで、みなさんにはお伝えしたい――。

 ボリビア戦に向けた前日会見で、森保一監督はそう宣言した。

「予定」というのは、その後に行なわれるトレーニングで負傷者が出たり、コンディションの悪い選手がいたりするかもしれないからで、トレーニング後に選手たちの口からも「総入れ替え」という言葉が出ているから、額面どおり受け取っていいだろう。


ボリビア戦を「大きな意味を持つ試合」と位置づける宇佐美貴史

「監督がメンバーを代えるといったなかで、初招集・初先発の選手がいるのはすごくうらやましい。僕なんか初めて選ばれてから3年かかっているから、そういうのを考えるとね。(安西)幸輝(鹿島アントラーズ)とか、初めて選ばれたから縮こまってやるんじゃなくて、どんどんトライして、あいつのよさを前面に出すべき。ミスしても全然問題ない」

 そう語ったのは、コロンビア戦で先発した昌子源(トゥールーズ)である。初めて選出されたのは2014年だったが、2017年になるまで定着できなかった自身を引き合いに出しながら、鹿島アントラーズ時代の後輩である安西にエールを送った。

 ボリビア戦のスタメン予想は、以下のとおり。

【GK】シュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)[中村航輔(柏レイソル)]
【DF】西大伍(ヴィッセル神戸)、三浦弦太(ガンバ大阪)、畠中槙之輔(横浜F・マリノス)、安西幸輝
【MF3列目】橋本拳人(FC東京)、小林祐希(ヘーレンフェーン)
【MF2列目】宇佐美貴史(デュッセルドルフ)、香川真司(ベシクタシュ)、乾貴士(アラベス)
【FW】鎌田大地(シント・トロイデン)

 乾が「幸輝のよさを出してあげたい」と語ったことから、2列目は乾が左に、宇佐美が右に入るものだと思われる。また、畠中、橋本のふたりがボリビア戦で代表デビューを飾ることが決定的だ。

 もっとも、スタメンの大半を入れ替えるのは、今回に限った話ではない。10月シリーズでもパナマ戦とウルグアイ戦でスタメンを9人入れ替えているし、11月シリーズのベネズエラ戦とキルギス戦では今回と同様、スタメンを総入れ替えしている。

 その背景に「招集した選手をできるだけ起用したい」という指揮官の考えがあるのは間違いない。実際、多くの選手にチャンスを与え、堂安律(フローニンゲン)、冨安健洋(シント・トロイデン)、シュミット・ダニエル、北川航也(清水エスパルス)、佐々木翔(サンフレッチェ広島)、山中亮輔(浦和レッズ)といった選手たちを代表デビューさせている。その点で、選手思いの優しい監督のように見える。

 だが、果たして本当にそうなのか。

 10月シリーズでも、11月シリーズでも、AチームとBチーム……すなわち、レギュラー組とサブ組に分けられていた。そして今回も、コロンビア戦に先発したのは、アジアカップを経験したメンバーを中心としたレギュラー組だった。

 つまり、厳然たるチーム内序列がはっきりしている――その点で、非常に厳しい監督とも言えるのだ。

 今年1月のアジアカップで2試合の出場に終わり、序列を突きつけられた乾はボリビア戦に向けて、あらためて自身の置かれた状況について触れた。

「今は1試合、1試合が本当にアピールしないといけない状況。いつもそうでしたけど、とくに今は若い選手が出てきて、自分のポジションがなくなってもおかしくない状況なので、しっかりアピールしていかなければいけない」

 また、ロシアワールドカップ以来の招集となった宇佐美も、今後の代表キャリアにおいてボリビア戦がいかに重要な試合になるかを説いた。

「久しぶりの試合のなかで、今チームは2連敗していて、総入れ替えでチャンスをもらえて、自分にとっても大きな意味を持つ試合だと思います。なんとしても結果を残したい、という危機感めいたものは一番あるんじゃないかと思いますけど、入れ込みすぎてもよくないし、明日試合が始まった瞬間からそうなるように、今はいい意味で無の状態です」

 ただでさえアジアカップで主力だった経験者――吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)、原口元気(ハノーファー)、酒井宏樹(マルセイユ)、大迫勇也(ブレーメン)が招集されていない状況なのだ。爪痕を残さなければ、代表でのキャリアが閉ざされかねないことを、彼らは理解している。

 一方、対戦相手のボリビアは、今年2月にエドゥアルド・ビジェガス監督が就任したばかり。3月4日のニカラグアとのテストマッチは2−2とドロー。3月22日には韓国と対戦し、0−1で敗れている。

 昨年まで主力だったFWマルセロ・マルティンス・モレノやMFディエゴ・ワヤル、MFジャスマニ・カンポス、MFルディ・カルドーソらは今回招集されておらず、国外でプレーする選手は、いずれもメキシコのプエブラに所属するDFルイス・アキンとMFアレハンドロ・チュマセロのふたりしかいない。

 メンバーのなかには1990年代後半生まれの選手も多く、平均年齢24歳と若いチーム。「新しい代表チームでのプロセスをスタートさせたばかり」と指揮官は強調したが、これが本当に現状のベストなのか、単なるBチームでの来日なのかはわからない。

 だが、たしかなのは、コロンビアのような骨のある相手ではないということだ。4日前の韓国戦は0−1のスコアで終わったが、内容はボリビアの防戦一方だった。「韓国が回させられたわけではなく、シンプルに決定機を外していただけ」と宇佐美が分析したように、韓国のスピーディな攻撃についていけず、一発でかわされ、カバーもおざなりで、棒立ちの選手も目についた。韓国の決定力不足に助けられなければ、大量失点していてもおかしくなかった。

 本来なら、こうした相手に対して連動・連係やコンセプトの浸透を確認したいところだが、代表デビューの選手3人を含む、初めての組み合わせで臨むから、ボリビア戦でチーム作りの進捗具合を探るのは難しい。

 だから、それぞれが個の能力をしっかり発揮し、チーム内の序列に変化を生じさせ、チーム内の競争をさらに激化させる――そんなゲームにしてほしい。