by BagoGames

100人が一斉に1つの島に集まり、最後の1人になるまで戦い抜くバトルロイヤル「プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ(PUBG)」は、PC版だけで1日のプレイヤー数が300万人を超えるほどの人気を集めるゲームです。そんなPUBGに夢中になる若者が急増していることに対して、インドでは親や教育者を中心に「PUBG中毒」を懸念する声が高まり、PUBGを法的に規制する自治体が登場。ついには「PUBGをプレイした」という容疑で大学生が逮捕されるという事態にまで発展しています。

https://www.hindustantimes.com/india-news/demon-in-every-house-10-arrested-in-gujarat-for-playing-pubg/story-7H8wSyILwRRNuYD8F02QBM.html

Battlegrounds, PlayerUnknown's Violent Hit Game, Banned in India - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-03-24/india-bans-most-popular-game-over-fear-of-creating-psychopaths

2019年3月14日、インドのグジャラート州の警察は、スマートフォン向けに配信されたPUBGをプレイしたとして、10人の大学生を逮捕しました。地元メディアのHindustanTimesによると、グジャラート州では「PUBGは行動、品位、言語に大きな影響を与える」として、PUBGのプレイが条例で禁止されたばかりだったとのこと。警察官は「PUBGは中毒性が高く、逮捕された大学生は皆プレイに夢中になっていて、警察が近づいていることにさえ気づいていなかった」とコメントしました。なお、大学生はその日のうちに保釈されたとのこと。



グジャラート州にある大学に掲示されたPUBGの禁止令に対して、学生は「世界がeスポーツを愛しているというのに、インドではそれを禁止しようとしています」と批判しています。





インド国内では親や教育者を中心に「PUBGは暴力を誘発し、学生に勉強をさせなくする」といったPUBG規制論が徐々に広まっているといわれています。インドの大手ヒンディー語新聞であるNavbharat Timesは2019年3月25日の社説で「このゲームには危険な影響がある」「多くの子どもたちは精神的バランスを失った」と述べ、PUBGの流行は子どもたちをマノロギ(サイコパス)に変えてしまうと主張しました。

この20年でめざましい発展を遂げたインドでは、PCやゲーム機を持っていなかった農村の住人もスマートフォンを手にするようになりました。通信サービスのし烈な価格競争によって、誰もがスマートフォンでインターネットを楽しむことができるようになりました。そんな中、世界中から人気のあるPUBGは、インドの若者の間で大ブームを引き起こしました。インド中南部のハイデラバードで行われた、大学生向けのPUBGの大会では、1000以上の大学から25万人のプレイヤー登録があったとのこと。あるチームはPUBGのトッププレイヤーとして150万ルピー(約240万円)の賞金を手に入れたそうです。



日本を含めた世界各国ではゲームの内容に応じて年齢によるレーティングを設けるなど、業界が審査と規制を自主的に実施しています。例えば、日本ではコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)によって5段階のレーティング区分が行われています。しかし、インドではゲーム市場が誕生したばかりであるため、ビデオゲームについて十分に議論されておらず、明確なレーティング基準が存在しないため、自治体による法的な規制が行われる事態に発展しているというわけです。なお、インドと同じく急速にデジタル化が進む中国でも「ゲームが若者に与える影響」に対する親や政治家からの批判は強く、当局による規制や凍結が行われているとのこと。

インド南部の大都市であるバンガロールにある国立精神衛生神経科学研究所には毎週「PUBG中毒」の患者が訪れるそうで、「PUBGでプロゲーマーになるから学校を辞めたい」と主張する11歳が両親に連れられて研究所にやってきたケースもあったそうです。

こうした流れを受けて、モバイル版PUBGを配信するTencentはインドで健康リマインダー機能と1日6時間制限を導入しました。Tencentは、インド向けのモバイル版PUBGのTwitter公式アカウントで「モバイル版PUBGはゲームです。それは単なる娯楽であり、健康的で責任ある方法で享受されるべきです」「私たちはいくつかの地方自治体がモバイル版PUBGのプレイを禁止することを決めたと知って驚きました。私たちはそうした禁止の法的根拠を理解するよう努め、関係当局との建設的な対話を行い、禁止の撤回を望みます」というコメントを発表しました。