堂安(左)、中島(中央)、南野(右)の攻撃にユニットは、鈴木に大迫の影を少し重ねていたようにも見えた。(C)SOCCER DIGEST

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 コロンビア戦、ボリビア戦は、アジアカップを戦ったチームに新戦力を融合させ、チーム力を強化し、選手層を厚くするのがメインテーマになる。
 
 まずコロンビア戦、初代表組でスタメンの座を掴んだのは、鈴木武蔵だけだった。また、鈴木、中島翔哉、山口蛍、昌子源以外の先発は、アジアカップ組である。
 
 新戦力の鈴木がアジアカップ組と絡み、今までないような展開が果たして生まれるのか、非常に楽しみだった。
 
 しかし、鈴木が決定機に絡んだのは、37分、左サイドの中島翔哉からのクロスをファーサイドでヘディングシュートを放った一撃だけ。このクロスへの入り方は前日練習でも行なっており、練習の成果が見えた形になったが、この決定機を決め切れず、他に見せ場はほとんどなかった。中盤との絡みも中島と堂安律、中島と南野拓実などふたりの関係性で終わり、そこに鈴木が絡んでいくシーンがあまりなかった。前半はシュート8本を放ったが、枠内シュートはゼロ。ミドルシュートが多く、それ自体は悪くないが、CFの鈴木と背後の3人で相手を崩してボックス内で決定機を作ることはなかった。
 
「中盤の連携に難しい部分があった」
 
 試合後、鈴木は背後の3人と連携して打開していくシーンがあまりなかったことについてそう述べた。
 
 コロンビア戦では「鈴木の良さをどう活かすのか」が見えず、むしろ堂安、南野、中島の攻撃にユニットは、鈴木に大迫勇也の影を少し重ねていたようにも見えた。
 
 鈴木は、大迫と異なり、ポストタイプのプレイヤーではない。高い身体能力とスピードを活かしたプレーが得意な選手だ。
 
 しかし、スペースにボールを出して勝負させるとか、早めにクロスを入れるとか、そのパターンで点を取ってきた鈴木の良さを活かそうというプレーがあまりなかった。鈴木を活かすというよりは前で収まらないので、個人突破や中盤で動きを知る選手だけで打開していくプレーが多かった。それは裏を返せば、大迫の存在感の大きさを示しているともいえる。
 
 これでは、せっかくの新戦力を活かすことは難しい。
 合流して時間が短いこともあり、息を合わせることはなかなか難しいだろう。鈴木ももう少しボールを呼び込む動きや声でボールを要求するなどチームに馴染む努力が必要だ。だが、お互いを知る中盤の選手が新しい選手を活かして良さを引き出してやろうという余裕と意識がもっとあってもいい気がする。
 
 鈴木と香川真司が交代した後、小林裕希、乾貴士、そして79分にはこちらもデビュー戦となるFW鎌田大地が投入された。だが、鎌田を出すなら鈴木と交代させ、より時間を与えるべきだったのではないか。初代表の試合でプレー時間がたったの11分間では自分の良さを出すのも評価するのは難しい。89分に入った安西幸輝もしかり、である。
 
 今回の試合のテーマである新戦力の融合は、鈴木も鎌田も自分本来の良さを見せることができずに終わった。鈴木は「これからお互いのことをより理解し、コンビネーションを高めていくしかない」と述べたが、今のままではさほど変化が望めない。
 

 正直なところ、このチームはもっと柔軟性があると思っていた。
 だが、アジアカップで大迫の不在時や今回のように大迫の亡霊を追うような試合を観ていると、意外と融通が利かないチームなのかもしれないという印象を受けた。強いチームや本当に質の高い選手は、持ち味が明確な新しい選手が入ってきた場合、その選手の良さを引き出すために臨機応変にプレーすることができる。日本のチームも選手もそれができるだけの高いクオリティを持っているはずなのだが……。
 
 新戦力を活かすべく、もっと丁寧にかつ柔軟に戦うことができれば戦い方の幅は広がるはずだ。そのためには多少システムを崩してもいいし、ポジションを入れ替えてもいいのではないか。コロンビア戦も途中から鈴木と中島のポジションを入れ替えて中島を中央に置き、CFを南野にしてもよかった。かみ合わないなと思ったら選手間でやりくりし、臨機応変に変えていくのもチームの成長には欠かせないことであるし、それがチームの強みにもなる。
 
 ボリビア戦では新戦力を活かしつつ、自分たちの良さを見せて臨機応変に戦う姿を見せてほしい。
 このチームの強みのひとつは、「対応力」なはずだ。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)