横浜市とNTT(東京都千代田区)などは18日、「RPAの有効性検証に関する共同実験」の結果を発表した。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を試験的に導入した事務作業では、最大99.1%の作業時間削減効果があったことが実証されたという。実験には他に、NTTデータ(東京都江東区)とクニエ(東京都千代田区)が参加した。

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 今回の共同実験は、横浜市が「官民データ活用推進計画」に掲げる、データやICTを活用した効率的・効果的な行政運営の推進や、働き方改革などの取り組みの一つとして行われたもの。庁内業務の一部にRPAを試験導入することで、その実現可能性や課題、効果などを検証した。

 RPAは、ルールエンジンやAI(人工知能)を活用して定型的なパソコン業務などを自動化することで、ホワイトカラーの間接業務を省力化できると期待されている。今回の実験では、業務システムを利用した作業をシナリオとして学習し、パソコン業務を自動化するRPAツール「WinActor(ウィンアクター)」を使用し、2018年7月から19年3月まで行われた。月報作成やデータの収集・入力といった、定型的な7業務の一部作業で、横浜市の担当職員がWinActorによるシナリオを作成したという。

 実験の結果は、RPAを導入した事務作業で、平均84.9%、最大99.1%の作業時間削減効果が確認された。特に、「地域活動・サービスの画像ファイル取得業務」では、年間の削減時間に換算すると、396時間24分もの削減効果が見込まれたという。

 一方で、作業手順が変更された場合の対応や職員のICTスキルのばらつきといった課題も明確になった。中でも、手書きの申請書などをシステムに手作業で入力する必要があることが、RPA導入において課題の一つとなっていることが判明した。そこでタブレットとAI-OCRを利用した紙帳票のデジタル化について、追加の技術検証を行った結果、有効性が実証されたという。

 今回の実験を通じて横浜市は、RPAによる業務の効率化に期待できるとしたうえで、明確となった課題を踏まえ、RPAの本格導入に向けた検証を今後も続けていきたいとしている。