米上院議員、顔認証データのプライバシー保護求める法案を提出。収集した顔認識データの売買などを規制

ある意味、ネット界隈で最も価値を持つようになりつつある個人情報ですが、米国のRoy Blunt および Brian Schatz上院議員はその顔認識を含む個人情報をしっかりと保護し、売買を禁止すべきだと考えています。議員らは党派の枠組みを超えてCommercial Facial Recognition Privacy Act(商業的顔認識プライバシー法案)を提出しました。この法案が成立すれば、人々の同意なしに顔認識情報を収集したり特定や追跡のための再共有や販売することなどが規制されるようになります。

顔認識技術はもう長い間保安や監視目的のために開発され利用されていますが、いまやiPhoneのFace IDをはじめとして商業目的で飛躍的な進歩を遂げつつあります。それらの情報はほかの個人情報と同様、大量に収集できる企業が、パートナーと共有したり第三者に売却したりできることを、人々は認識していないと議員らは主張します。

法案では、企業が情報を再配布するのを禁じることに加え、それを使用する企業は顧客にその旨を通知することを要求します。顔認識技術は特に女性や有色人種への使用で発生しやすい正確さの問題や、偏りの問題をなくすため、実装前には第三者による性能試験を実施しなければなりません。さらに、顔認識技術を開発する企業は連邦取引委員会(FTC)とアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が定めるデータ保護標準を満たさなければならないとしています。

議員らは、マイクロソフトの社長兼最高法務責任者ブラッド・スミス氏をこの法案の支持者として味方につけました。スミス氏は「顔認識技術は社会に多くの新たな利益を生み出し、発展し続けるべきだ」と述べつつ「その使用においては偏見や差別行為から保護し、プライバシーを尊重して基本的な民主的自由を守るために規制される必要がある」「バランスのとれた政策を立てるために議員らに協力することを楽しみにしています」とコメントを出しました。

ちなみに、アップルは個人情報の取り扱いを極力なくす方向であり、情報そのものから利益を得ることを考えていないとティム・クックCEOは主張しています。一方で、FacebookはCambridge Analyticaの件を発端として、長くコイン情報の取り扱いについて厳しい視線にさらされています。今年2月にも、十数種類のモバイルアプリが無断でFacebookへと収集したユーザーの情報を送信していたことが明らかになっていました。