ハイブリッドのトヨタ・プリウスは40.8km/Lの燃費を実現

 国土交通省が年度末に燃費の良いクルマの順位を発表しており、昨年度の結果によるとガソリンエンジンの登録車で1位は、トヨタ/ダイハツのパッソ/ブーンの28km/Lだ。その上に、ディーゼルエンジン車のデミオが30km/Lとなっている。

 軽自動車では、スズキ・アルトが37km/Lを記録しているが、これにはエネチャージが採用されているので、純粋なガソリンエンジンのみとなるとダイハツ・ミライースの35.2km/Lだろう。

 ちなみに、ハイブリッド車のトヨタ・プリウスは40.8km/Lを、アクアが38km/Lを実現している。

 すでに、軽自動車でもスズキはエネチャージやマイルドハイブリッドを使って燃費を向上させており、市販が待たれるマツダのSKYACTIV Xも、電動化の機能を採り入れているとの噂があり、この先ガソリンエンジンだけでどこまで燃費を伸ばせるかに、あまり意味はなくなってきている。

モーターを活用しなければこれ以上の燃費の向上は難しい

 エンジンは、それがディーゼルであっても、発進の際にもっとも燃費が悪くなる。軽自動車のような小さなクルマでも、瞬間燃費計を見ての印象では、発進の瞬間は10km/Lを割る数値ではないか。そこがエンジンのもっとも不得手なところであり、ことに発進・停止を繰り返す日常の使用領域では、燃費が悪化傾向となるのはそのためだ。

 エンジンの不得手な極低回転領域を補うのがモーターであり、ことに日常領域ではモーターの力を活用しなければ、燃費を向上させるのが難しいところまでエンジン効率は高まっている。

 同時にまた熱効率で40%以上を実現している車種では、確かに効率や燃費はよくなっているだろうが、一方で、エンジン騒音が大きくなる弱点が現れてきている。静粛性を保つため、防音や吸音材を車体に搭載したのでは車両重量の悪化を招きかねない。

 社会情勢において、すでに海水温度が上がったことで気候変動が現実のものとなり、毎年どこかで異常気象とされる天候被害が起き、その影響は甚大だ。こうなると、単に燃費を改善すれば済む話ではなく、一日も早く排ガスゼロを実現しなければ、自然災害の影響は生活だけでなく、食料確保など基本的な問題へも影響が及びかねない。

 燃費競争はすでに過去のものであり、ここからはいかに電動化、電気自動車化を早め、排ガスゼロを実現するかに人類の存亡がかかっているといえる。それは決して大げさな話ではない。

 なおかつ、それを実効あるものにするためには、発電を排ガスゼロ化することも含まれる。天候の不安定さは、再生可能エネルギーによる発電の不安定化にもつながり、主力電源にできない現実を突きつける。発電における排ガスゼロ化は、日本人にも未来を構想する冷静な議論と判断を求めている。