オフィスの昼休み中に電話が鳴ったり来客があって対応をした場合、厳密には「休憩時間」とみなされない?今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で現役社労士の飯田弘和さんが、正しく理解されていない「休憩」の定義を紹介しています。

御社では、休憩をきちんと与えていますか?

本日は、休憩についてお話していきます。

休憩とは、労働時間の途中に与えられる、労働から離れることを保障されている時間をいいます。ただ単に、作業を行っていないからといって、それが休憩時間になるという訳ではありません。

昼休み中の電話番や店舗での客のいない時間などは、たとえ実際に作業が行われていなくても、いざ電話が鳴ったり来客があれば対応するのですから、「手待時間」であって、休憩時間とはなりません。あくまでも、就業しないことが使用者から保障されている時間でなければ、休憩時間とはなりません。

当然ですが、休憩時間を従業員がどのように過ごそうと自由です。ただし、無制限に自由利用が認められるわけではありません。休憩時間は、始業から終業までの拘束時間中の時間であり、使用者から一定の拘束を受けることもやむを得ないとされています。

たとえば、休憩時間中に事業所内で賭け麻雀を行っているような場合、会社は、職場の規律や風紀を乱す行為として禁止することができます。懲戒処分の対象ともなります。

たとえば、ある従業員が休憩時間中に他の従業員に対して宗教の勧誘を行っていた場合、会社がもつ「企業秩序を定立し維持する権限」に基づいて勧誘行為を禁止することができますし、勧誘される従業員が「しつこい」と感じていれば、その従業員の休憩時間の自由利用を妨げていることになり、会社として勧誘行為を規制することができます。マルチ販売の勧誘や政治活動も同様に考えられます。

また、休憩時間中の事業所外への外出を許可制にしているような場合であっても、事業所内で自由に休憩できるような場合には違法とはならないとされています。

休憩時間といいつつも電話番をさせたり、トラックの荷積み待ちの待機時間を休憩時間として扱う等で、従業員とトラブルになることがあります。実際に休憩時間に該当しなければ、労働時間として賃金の支払い義務が発生します。

休憩時間とは、労働から離れることを保障されている時間であり、企業秩序や他の従業員の休憩時間の自由利用を侵すものでなければ、原則自由に利用することができるものであるということを確認していただいた上で、従業員に正しい「休憩」を与えるようにしてください。

ちなみに、労基法では、労働時間が6時間を超える場合には45分、労働時間が8時間を超える場合には1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないことになっています。

以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社では、休憩をきちんと与えていますか?」

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