思うとおりにならない子どもにイライラしてつい怒鳴ったり、叩いてしまったり、ということは誰にでもありうることです。でも「体罰」に頼るしつけは、子どもに悪影響を及ぼすことが分かっています。

またしても虐待で子どもの命が……



親からの虐待を受けて子どもが亡くなった、というニュースが年に何度か世間を騒がせます。ニュースにならないでひっそりと亡くなってしまった子や、日常的に身体的な暴力や、暴言、食事を与えられないなど虐待にさらされている子は、きっと私たちが想像するよりも多いのでしょう。

ワイドショーでは行政の対応が悪かったと騒いでいますが、そもそも虐待をしてしまった親の側が問題です。

昔は体罰オッケーだった?


虐待をしている親の多くが「しつけのつもりだった」といいます。「叩かないと分からない」「身体に教えてやる」「生意気にならないように怒鳴りつける」……そして「昭和の時代には愛の鞭はオッケーだったのに」という主張。

確かに私が小学生だった時代は子どもにビンタする先生や頭をどつく、お尻ペンペンくらいはふつうにありました。私もやられて育ちました。

「当時は大丈夫だったのにどうしてダメなのか?」 という意見には「ダメだということがはっきり分かったから」と回答したいと思います。ヴぇ
昔はチャイルドシートをしなくて良かったから今もしなくて良い、とか、昔の人は食事の前に手を洗わなかったから今も洗わなくて良い、という人はいませんよね。それと同じです。

「愛の鞭」には害しかなかった



「愛の鞭」といいますが、親が感情的になって、子どもに恐怖を与え、思い通りに動かそうとするのはマイナスにしかなりません。

一時的には、子どもは恐怖に支配されて親のいうことを聞きますが、それは「殴られたくないから親の顔色を見て動く」というだけ。それに誰だって自分を怒鳴ったり殴ったりする相手を信用することは出来ません。親子の間の信頼関係は壊れ、子どもは親に対して心を開くことがなくなってしまいます。

最近の脳科学研究で、子ども時代に暴力や暴言などを受けた人の脳は、前頭前野が委縮したり、聴覚野が変形したりすることも明らかになっています。

参考:厚生労働省「愛の鞭ゼロ作戦」

「分かっている、でも夫が……」という場合もあります。

もしも夫が体罰でしつけをと考えるタイプだったら、暴力や暴言は害にしかならないことを伝えてあげてください。

言葉でいっても分からない、妻の言葉を受け止めてくれない夫だったら、思い切って距離を置くことを考えても良いかも知れません。

子どもは叩いてしつけるものだ、と両親ともに思い込んでしまうと、歯止めがきかなくなります。

怒鳴らない、叩かないために


自分自身が子どもに怒鳴らない、叩かないためにはどうしたら良いか考えてみましょう。
よく、子育てのストレスをため込まないことや、感情をクールダウンする方法を知ることがすすめられます。

それももちろん大切ですが、もっと大切なのは、親子の間には体罰以外のコミュニケーション方法があることを知り、それを学ぶことではないかと思います。親業(ゴードンメソッド)やアドラー心理学に基づいた勇気づけなど、子育てを学べる機会はいくらでもあります。ひとつの方法論や先生にとらわれず、たくさんある方法から自分たち親子にとって良い方法を探っていくのがいいのだろうと思っています。

子どもの立場で考えよう



特に女性は「私が殴ったり怒鳴ったりしても、そんなに怖くないだろう」と思いがちです。自分がそんなに怖いなんて思いたくありませんよね。

でも子どもの立場になってみると、やっぱり大きい、怖いです。

例えば100cmの子どもが150cmの女性に怒鳴られる、殴られるというのがどんな感じか、ちょっと計算してみましょう。

ふつう150cmの女性って小柄ですが、子どもに対したときはそうでもないんですね。子どもの身長が100cmで、親の身長が150cmだと、身体の大きさは1.5倍も違います。自分の1.5倍もの大きさの相手……150cmの女性だと2m以上もの大柄な男性に怒鳴られる、殴られるのと同じくらいの感じでしょうか……とてもかなわないと思いますよね。

圧倒的な体格差がある、ということをふと思い出すだけでも、体罰を少しは減らせるでしょうか。

(文・曽田 照子)

虐待かもと思ったら189番