先週行われたチャンピオンズリーグ(CL)1回戦のセカンドレグで、レアル・マドリーがアヤックスに逆転負けを喫し、CL4連覇を逃した件。
 
 2連覇でさえ88-89、89-90シーズンのミラン以来27年ぶりであり、3連覇に至っては73-74、74-75、75-76のバイエルン以来42年ぶりの出来事になる。4連覇になると、レアル・マドリー自身が達成した60年前に遡らなくてはならない。これは歴史的に見て大きな意味を持つ敗退劇と言えた。
 
 しかし、4連覇達成にレアル・マドリーがさほど執念を燃やしていたように見えなかったことも確かだった。シーズン前、クリスティアーノ・ロナウドを放出した時点でそう見えた。それに変わるビッグネーム、つまりネイマール級の選手を補強しなかったことも輪を掛けた。戦力ダウンを承知で今季に臨み、そして敗れた。敗退は時間の問題だった気がする。
 
 だが、敗れた相手がアヤックスというのは少し意外だった。敗れる場合は、ベスト16入りしたチームの中で8番以内に入る、それなりの強豪であると考えるのが妥当だった。

 この番狂わせと言うべき敗退劇を誰よりも喜んでいるのは、バルセロニスタだろう。国内リーグで現在首位を行くバルサだが、昨季のように国内リーグを制してもCLのタイトルをレアル・マドリーに奪われれば、その優勝の価値はゼロに等しくなるからだ。

 国内リーグよりCL。この優先順位が確立されたのは92-93にチャンピオンズカップから大会名がCLに変わり、しばらく経過した後だ。それを象徴する分かりやすい出来事が起きたのは90年台終盤のスペインリーグだった。

 レアル・マドリーは、97-98シーズンから5シーズン、1年間隔で3回CL優勝を遂げている。その中で2回優勝したその最初の3シーズンは、バルサも国内リーグ優勝2回、2位1回という好成績を収めていた。時のバルサの監督、ルイス・ファンハールは、にもかかわらず、解任の憂き目に遭った。CL優勝と国内リーグ優勝と、それぞれの重みの違いが明白になった瞬間だった。

 今回、評価の分かれ目となる肝心のCLで、バルサはライバルチームに対して久々に有利な位置に立つことになった。アヤックス様々の気分だろう。

 オールドファンにとってはなおさらだと思う。バルサを象徴する選手と言えば現在ではメッシになるが、その昔はヨハン・クライフだった。引退後はバルサを監督として牽引。クラブに初めて欧州一のタイトルをもたらすと共に、クラブの理念の構築にも尽力した、まさにミスターバルサだ。

 アヤックスはそのクライフの出身クラブになる。クライフの師匠で、クライフより先にバルサで指揮を執り、20世紀最高の監督として表彰されたリナス・ミホルスも元アヤックスの監督だ。

 バルサを語る時、アヤックスは外せないチームになる。クライフがバルセロナを去った後もその色は強く残った。アヤックスを本家とするならば、バルサは分家。両者は親戚のような関係にあった。「バルセロネザーランド」と言われたことさえあった。クライフやファンハールを師と仰いだグアルディオラが監督を務めていた頃までは。

 しかし現在のバルサに、アヤックスの分家としての面影は薄い。クライフが亡くなってしまったこと。現在の監督、エルンスト・バルベルデのサッカーにアヤックスの匂いがあまりしないこと。オランダ人選手がフィールドプレーヤーに誰もいないことなどが考えられるが、アヤックス、そしてオランダ自身が弱体化してしまったことも見逃すことはできない。

 アヤックスというクラブの成績が芳しくないことは、クラブの予算規模に関わる問題なので仕方がないが、好選手がいなくなってしまったこと、その結果、オランダ代表チームが弱体化したことは、発信源としてパワーが弱ったことを示すなによりの証になる。