江戸時代の新聞「かわら版」第一号に書かれた江戸最古の記事はあのビッグニュース!

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テレビもケータイもなかった江戸時代、庶民はニュースに飢えていました。そこで発達したのがかわら版。今回は江戸のワイドショーとも新聞とも呼ばれるかわら版についてご紹介します。

かわら版とは

江戸時代において、今の新聞の号外のように道端で配られ、江戸のワイドショー的役割を果たしていたかわら版。浮世絵と同じように、文字や絵を彫った原板を紙に1枚1枚摺って作られた印刷物です。ちなみに原板は粘土板に文字や絵を彫って印刷したとも言われますが、木版摺りのほうが早くて安いため基本的には木版摺りであったとされています。

誰が売るの?

そうして一定数摺られたかわら版を売り歩くのは、とんがり帽のような編笠を目深にかぶった「読売」。

その名の通り、道行く人々の興味を引くようにかわら版をちょっと節をつけたり面白おかしく読み上げながら売るのです。大抵が2人組で、1人が読み上げ、もう1人がなんとなく周りを伺っています。

これはかわら版の内容が幕府を揶揄するような内容だと捕まってしまうからで、見つかりそうになったら捕まらないようにさっさと散ってゆくのです。編み笠を深くかぶっているのも同じ理由で顔を知られないようにするためでした。

江戸時代最初のかわら版の内容は

かわら版の歴史は江戸時代の初めに遡ります。現存する最古のかわら版、記念すべき第1号(?)は、1615(慶長20/元和元)年発行の「大坂安部之合戦図」と「大坂卯年図」。

大坂安部之合戦図

 

大坂卯年図

共に出典元:森田健司「かわら版で読み解く江戸の大事件」彩図社

紙面を見てみると、無数の小さな武者や馬が合戦場を駆け回って戦っている様子が見えますね。紙面を囲むように立てられている様々なデザインの幟や鉾も華やかです。絵柄がマンガチックなせいか、少しコミカルにも感じられます。

実はこれ、徳川が豊臣を滅ぼした大坂夏の陣の様子を伝えるかわら版。徳川幕府が勝利を収めた事を大々的に讃える内容でした。今では歴史の教科書で重要事項として頻出する出来事ですから、当時は相当なビッグニュースだったのでしょう。

この2つのかわら版はのちのかわら版と違って幕府か命じて作らせたものであり、どちらも幕府側の圧勝を強調し、徳川の世の到来を世に知らしめる役割を担いました。

参考文献:森田健司「かわら版で読み解く江戸の大事件」彩図社