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ここ数年、台頭著しい「LCC(ローコストキャリア)」だが、筆者が国際線のLCCに乗ったのは、じつは今回が初めてだった。利用したのはマレーシア生まれのLCC・エアアジアグループの「タイ・エアアジアX」。「エアアジアは聞いたことあるけど、Xって?」と疑問に思う人も多いかもしれないので、簡単に説明しておこう。エアアジアグループでは、飛行時間4時間以上の長距離を運行するのが「エアアジアX」、飛行時間4時間以下の短・中距離のLCCは「エアアジア」と名前を分けているのだ。

エアアジアグループを利用してプーケットに行くには、バンコクでの乗り継ぎが必要となる。成田からバンコク(ドンムアン空港)まで、「エアアジアX」を利用。まずは、バンコクに行き、そこでプーケット行きに乗り換える(バンコク・プーケット間のフライトは約1時間20分)。

フルサービスのエアラインと比べ、どのくらい安いのか調べてみたところ──。エアアジア利用者の、東京・バンコクの利用料金の平均は2万756円〜(2019年3月の場合)。日によっては2万円を切ることもあるし、驚くような価格で航空券が購入できるキャンペーンも頻繁に実施している。

ちなみに、LCC国際線ヴァージンの筆者が、LCC国際線に搭乗するにあたって、気になっていたのは、安全性でも狭さ(いろいろな声を聞く。まあエアラインによっても異なるはず)でもない。受託手荷物や機内食などの追加料金で、「いったいどれくらいお金がかかるの?」かよくわからないという多い点だ。いろいろ追加したら、けっこう高くなってしまうのではないだろうか。

そうなのだ。LCCがお手頃価格なのは、不要と感じる人がいるようなサービスは省き、必要とする人が「購入」するシステムで価格を抑えているというのが大きな理由のひとつといっていいだろう。受託手荷物も、機内食や飲み物も、ブランケットも、必要なら追加料金を払って「購入」するかたちとなる。

成田からプーケットまで行く場合、20キログラムのスーツケースを預けると6,002円(事前予約の場合)。機内食は事前予約で750円程度。どちらも不要ならオーダーしなければいい。しかし、エアアジアの機内食はなかなか美味しいとうわさに聞き、試してみることにした。オーダーしたのは、「タイ風チキングリーンカレー」。タイに行くのだから、タイ気分を盛り上げないと! で、その味だが、風貌はアルミの蓋をあけるかたちでB級感が漂っているのだが、たしかに美味しい。メニューが豊富なのも楽しく、国際線では、「パク・ナセル特製のナシレマ 」が一番人気だという。なお、食事の配給の時間は、機内がタイ米やカレーの香りに満たされる。お腹が空いていなくても、食欲を刺激されること必至なので、オーダーしておいたほうが賢明かもしれない。

さて、数あるLCCのなかで、筆者が今回、エアアジアを利用したのは、エアアジアの場合、バンコクで国内線を乗り継ぐ際の空港税が不要なのだ。当たり前に思うかもしれないが、請求されるケースが多いのだ(機内食の評判の良さだけが理由ではない)。受託手荷物も成田からプーケットまでスルーで運ばれる。

フルサービスのエアラインと、LCCとの差をもう少し紹介しておこう。まず、フルサービスのエアラインでは今や標準装備となっている、個人用モニターは付いていなかった。バンコクまでの約7時間。本、音楽、映画など、娯楽は自分で用意しておくべきだと痛感した。周囲をきょろきょろと見回してみると、自分のモバイルに落とした、クールに映画を見ている旅慣れた人が複数いた。LCC初心者の筆者は、ここぞとばかりに仕事に励んだが今度LCCに乗るときはしっかり準備しておこうと思う。

さて、気になる座席の広さだが、日本とバンコクを結ぶ「エアアジアX」の機材は、エアバスA330-300。スタンダードシートで、座席前後の間隔は 約70cm、座席幅は約40〜43cm。フルサービスのエコノミークラスの座席と比べても、気になるほど狭いわけではない。また、今回は、エコノミー席の前側にあるクワイエットゾーンを利用した。こちらは、10歳以上の乗客しか座ることができないエリアで、東京〜バンコク間では航空券購入と同時に指定すると3000円追加料金がかかるが、たしかに静かで快適だった。

そうそう、ビジネスクラスにも注目だ。水平にリクライニングできる座席に加え、機内食、掛け布団など、さまざまなサービスがついてくる。これだけゴージャスな座席を、フルサービスのエアラインのエコノミークラス並み、もしくはそれ以下の料金で乗ることができるのだ。機内食は、好きなものを1品、オーダーできる。ただし、バンコク線のビジネスクラスは大人気。出張の予算が限られ、既存のエアラインではエコノミーの代金しか支給されないビジネスマンが、エアアジアのビジネスクラスを利用する、という話も聞いたことがある。

旅において何に重きを置くか。限られた予算をどう使うか──。LCC の台頭で、旅をする側の選択肢がぐんと広がった。LCCとフルサービスの航空会社のメリット、デメリット、またLCCのなかでもそれぞれの個性を比較して、上手にエアラインを利用したい。

エアアジア

タイ・エアアジアX
バンコク便は成田1日3便、関空1日2便、新千歳、中部国際空港1日1便
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