テキサス州東部でアップルにLTE特許侵害訴訟が提起。パテント・トロール対策と噂のストア閉店直前のこと
Reuters

アップルがテキサス州東部地区にて、LTE規格に関連する7つの特許ポートフォリオ(製品の開発や生産に必要な特許をまとめたもの)を侵害しているとして、訴訟を起こされたことが報じられています。

アップル関連情報サイトMacRumorsによれば、原告のOptis Wirelessおよび傘下にある有限会社グループは特許を盾にして賠償金を得ようとする、いわゆるパテント・トロールとのこと。

こうした訴訟は特に珍しくありませんが、折しもアップルがパテント・トロール対策のため、同地区でのアップルストアを閉店すると噂された直後だけに注目を集めています。先週末、アップルはテキサス州東部地区にあるApple Willow Bend店とApple Stonebriar店を4月12日に閉鎖すると報じられました。この噂は、後に米TechCrunchに対するアップルの声明で事実と確認されています(ただしパテント・トロール対策とは認めず)。

なお、アップルはテキサス中東部地区に隣接するGalleria Dallasのショッピングモールに新店舗を4月13日に開店予定とのこと。閉鎖される2店舗と近い場所にあり(下記の赤い点)顧客への配慮もされているしだいです。

なぜ閉店にそうした目的があると推測されたかといえば、テキサス州東部地方裁判所はパテント・トロールに有利な判決を下す傾向があることで悪名が高いからです。2017年10月にも、アップルはパテント・トロールとして知られるVirnetXに対して、同裁判所にて5億2060万ドルもの支払命令を下されたことがありました。

2017年5月の米最高裁判決により、原告は特許侵害訴訟を「被告が実際に侵害行為を行ったか、あるいは継続して業務を行っている事業所がある」地域だけで提起できることとなりました。それ以前は提起先の裁判所はほぼ自由に選べたため、パテント・トロールはテキサス州東部で頻繁に訴訟を起こしていた経緯があります。

つまり同地区からアップルストアを撤去することで、パテント・トロールはアップルに対してライセンス料や損害賠償が目当ての訴訟を起こしにくくなるわけです。

さて、訴状によると今回の原告であるOptis Wirelessほかは、iPhone、iPad、Apple Watchを含むLTE対応の全てのアップル製品が特許を侵害していると主張。彼らはEricssonやサムスン、LGおよびパナソニックから多くの特許を取得していると記載されています。

原告のOptis Wirelessほかはファーウェイに対しても同裁判所でLTE特許侵害訴訟を起こしています。その結果、2018年8月にファーウェイは1060万ドルの損害賠償支払いを命じられました。

同地区でのアップルストアが閉店するまで、あと1ヶ月と少し。それまでに、パテント・トロールのさらなる滑り込み訴訟もあるのかもしれません。