GI高松宮記念(3月24日/中京・芝1200m)の前哨戦でもある、GIII阪急杯(阪神・芝1400m)が2月24日に行なわれる。

 昨年はダイアナヘイロー、一昨年はトーキングドラムと、2年連続で7番人気の伏兵が勝利するなど、”荒れる”傾向が強いレースだ。しかも一昨年は、2着に4番人気のヒルノデイバロー、3着に12番人気のナガラオリオンが突っ込んで、3連単は248万3180円という超高配当をつけた。

 ここ10年の勝ち馬を見ても、1番人気の優勝はわずかに2回。穴党にとっては、まさに腕が鳴る重賞と言えるだろう。

 ということで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで波乱を起こしそうな伏兵馬を探し出してみたい。

 伏兵の激走パターンとして、まず注目したいのは、下級条件を勝ち上がってきた上がり馬だ。ただし、狙い目となるのは、その後にオープンクラスや重賞のレースで敗戦を喫して、少し人気を落としたタイプである。

 先述のトーキングドラムは、まさにそのタイプ。2走前に1600万下のマイル戦を制したが、続くオープン入り初戦の洛陽S(京都・芝1600m)では4着に敗れた。おかげで、重賞の阪急杯では実力不足と見られてか、人気薄にとどまったが、見事に金星を獲得した。

 2011年に5番人気で3着となったフラガラッハも同様だ。こちらは、前年に500万下から1000万下、1600万下と3連勝。その後、年明け2月にGIII東京新聞杯(東京・芝1600m)に挑戦したが、3番人気に推されながら11着と惨敗。この結果を受けて阪急杯では人気を落としたが、馬券に絡む走りを見せて前走の汚名を返上した。

 2012年に4番人気で優勝したマジンプロスパーや、2016年に5番人気で3着となったブラヴィッシモも、2走前に1600万下を勝ちながら、前走の重賞やオープン特別で敗戦。その実力を疑問視されるなか、阪急杯では巻き返しを図って、あらためて力があることを証明した。

 そこで、今回のメンバーの中から同様のタイプを探してみたが、条件戦を勝ち上がった直後に足踏みして、ここに挑んでくる馬はいなかった。であれば、もう少し視点を広げて、シンプルに上がり馬を狙ってみてはどうか。

 面白いのは、エントシャイデン(牡4歳)だ。

 同馬は、現在1000万下から3連勝中。前走で1600万下を勝ち上がってオープン入りした文字どおりの”上がり馬”だ。

 3連勝とも着差こそわずかだが、いずれも32〜33秒台前半の上がりをマーク。その切れ味はここに来て磨きがかかった印象がある。いきなりの重賞挑戦とあって、そこまで人気が上がらなければ、同馬の一発に期待したい。

 次に注目したいのは、近走不振のGI馬、もしくはGI連対馬だ。

 2015年に4番人気で2着に入ったミッキーアイル、同9番人気で3着となったローブティサージュがいい例だ。いずれもGI馬だが、ミッキーアイルは直前の2走が13着、7着、ローブティサージュも直前の2走で11着、14着と不振を極めていた。そのため、人気は急落していたが、ここでGI馬の底力を発揮した。

 また、2014年に5番人気で3着となったレッドオーヴァルも似たようなタイプ。前年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)で2着の実績がありながら、その後の4戦で4連敗。そうした戦績から甘く見られていたが、馬券圏内に絡んで一矢報いた。

 とすれば、近走振るわないGI馬、あるいはGI連対馬は今年も外せない。すぐに目がいくのは、レッツゴードンキ(牝7歳)である。

 ただし、同馬は惜敗の連続で、低迷しているイメージがなく、ここでは上位人気が予想される。ならば、代わりにロードクエスト(牡6歳)をオススメしたい。

 ロードクエストは2016年、3歳時にGI NHKマイルC(東京・芝1600m)2着の実績を持つ。しかし、その後の戦績は今ひとつ。昨秋のGIIスワンS(10月27日/京都・芝1400m)で久々の勝利を飾ったものの、以降3戦は再び、17着、13着、4着と不本意な結果に終わっている。

 今回も上位人気を争うまでに至らないだろうが、GI連対馬が反撃する過去の傾向を踏まえれば、決して軽視できない。前走の東京新聞杯(2月3日)で復調気配を見せており、ここでもうひと押しあってもおかしくない。

 最後に取り上げたいのは、前年のGIスプリンターズS(中山・芝1200m)で3着と好走した馬。それでいて、その後のレースで期待を裏切って人気を落としてしまった馬だ。

 たとえば、2009年に7番人気で勝利したビービーガルダン。同馬は前年のスプリンターズS3着後、続くGIII京阪杯(京都・芝1200m)で1番人気に支持されるも、6着と敗れた。結果、阪急杯では大きく人気を落としてしまった。

 2011年に4番人気で1着となったサンカルロもそうだ。前年のスプリンターズSで3着となって、その後はさらなる飛躍が期待されたが、以降の3戦で8着、11着、6着。阪急杯でも、伏兵の1頭という評価に甘んじた。

 しかし、2頭とも阪急杯で大駆けを決めた。そして今年も、このパターンの馬がいる。

 ラインスピリット(牡8歳)である。


昨年のスプリンターズSで3着に入ったラインスピリット

 同馬も昨年のスプリンターズS(9月30日)で3着と好走。だが、その後はGII阪神C(2018年12月22日/阪神・芝1400m)で10着、GIIIシルクロードS(1月27日/京都・芝1200m)で14着と惨敗続きである。

 今回はその評価が一段と下がるだろうが、過去の例からして要注意の1頭となる。ここで、スプリンターズSで見せた激走の再現があっても不思議ではない。 春のGI戦線を前にして、ぞれぞれの前哨戦では白熱したレースが続いている。その多くが波乱となっていることを考えれば、阪急杯も”大荒れ”となる可能性もある。それを演出する馬が、ここに挙げた3頭の中にいるかもしれない。