競泳の池江璃花子選手が、白血病と診断されたことを公表した。来年の東京五輪に出場することが、確実視されていた選手である。水泳界はもちろんスポーツ界全体に衝撃が広がり、テレビのワイドショーなどでも報道された。

 まずはとにかく治療に専念してもらい、一日も早く元気になって欲しい、というのは誰もが抱く思いに違いない。騒ぎ立てることなく、静かな環境を提供することが、私たちにできる数少ないことだろう。

 そのうえで、できることはないものだろうか、と考える。サッカー界は何もしなくていいのだろうか。

 ケガや病気に立ち向かう個人や団体への支援は、治療費の補助としての寄付が一般的だ。ただ、Jリーグと各クラブは東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震の災害復興支援活動を行なっている。継続性が求められるだけに、こちらと重なってしまうのは避けたい。

 支援やモノやお金だけではない。同じアスリートとして、世界で戦う仲間として、励ましのメッセージを送るだけでもいいはずだ。

 先週末に行なわれた水泳の大会では、池江選手へのメッセージを書き込む選手やファンの姿があった。サッカー界も同じことをやっていいと思う。

 縁もゆかりもない人たちからメッセージが届いたら、池江選手は戸惑うかもしれない。
水泳界以外からの「頑張って」の声が彼女の負担になってしまうなら、メッセージを受け取ってもらわなくても構わないと思う。それはもう、ご本人やご家族、関係者に判断してもらえればいい。大切なのは「元気になってください」というメッセージを、伝えることではないだろうか。

 池江選手にメッセージを送る前に、応援するべき人がもっと身近にいる、との指摘があるかもしれない。もしそうならば、その人にも送ればいい。

 励ましのメッセージを届けるという行為に、優先順位はない。期限もない。「メッセージを届けたい」とか「届けるべきだ」いう人がいるなら、自発的に動く。「こういう病気にかかりながら、必死に頑張っている人がいる」という声が届いて、「その人を少しでも元気づけたい」なら、行動へ移せばいいと思うのだ。

 これから白血病と闘っていく池江選手に、何かできることはないかと考えているサッカー選手は、サッカー関係者は少なくないと思う。期せずして今週から、Jリーグが開幕する。全国各地のスタジアムに、たくさんのファン・サポーターが集まってくる。自分たちにできることがあるなら、迷わず実行に移していいと思うのだ。