交通事故にあってしまったが、健康保険を使ってもいいのか? そんな質問が、弁護士ドットコムに複数、寄せられている。

ある女性は、歩いていたところを自転車と接触、ケガをした。「健康保険で受診してしまったのですが、何か問題ありますか」と聞いている。

車を運転する人や保険に詳しい人にとっては、正解は自明のことかもしれない。しかし、弁護士ドットコムに「交通事故では、健康保険は使えないの?」という質問はよく寄せられており、いつ起こるかもしれない交通事故に備えて、知っておきたい知識だ。

実際のところ、交通事故健康保険を使ってはいけないのか。また、健康保険を使わないことで、どのようなデメリットがあるのか。櫻井俊宏弁護士に聞いた。

交通事故でも、健康保険は使える

ーー 交通事故では、健康保険は使えるのでしょうか。

交通事故でも、健康保険は使えます。

交通事故では、被害者でも過失割合がゼロというケースは少ないでしょう。交通事故では、過失割合に応じて、自己負担が決まります。過失割合によっては、治療費を自己負担しなければならない可能性もあるのです。

また一時的とはいえ、治療費を立て替えることは負担になるのではないでしょうか。健康保険を使えば、その治療費も3割の負担ですみます。

健康保険を使わない自由診療の方がてっとり早く料金をとれるからか、病院の中には「健康保険は使えない」と言ってくる場合もあるかもしれません。そうした場合は、弁護士に聞いたら健康保険は使えると言っていたと伝えて、健康保険を使わせてもらうべきです。

ーーなお勤務中や、通勤中の交通事故にあった場合には、健康保険と労災保険、どちらを使えばよいのでしょうか。

労災保険を使える交通事故の場合は、健康保険は使えません。その点は留意してください。

なお例えば、昼休み中にただ会社の外に食事をしに行ったときであれば労災保険は使えません。業務上の手紙を投函しようとしていたような場合や、会社の敷地内を歩いていたような場合は、業務と関わりがあるので、労災保険を使えます。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
交通事故、離婚・男女問題等を得意としている新宿・青梅の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。応援団出身であり、中央大学の学内顧問弁護士(法実務カウンセル)を担当している。「弁護士 ラーメン」と検索するとラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン好き。
事務所名:弁護士法人アズバーズ青梅事務所
事務所URL:http://as-birds.com