JRA今年最初のGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)が2月17日に行なわれる。

 同レースを前にして、デイリー馬三郎の吉田順一記者も、日刊スポーツの松田直樹記者も、こんなふうに口をそろえる。

「昨年末のGIチャンピオンズC(12月2日/中京・ダート1800m)を制し、3歳馬にしてダート界の頂点に立ったルヴァンスレーヴこそ不在も、同じ3歳で暮れの地方交流GI東京大賞典(12月29日/大井・ダート2000m)を勝ったオメガパフューム(牡4歳)や、同レース2着で一昨年の覇者であるゴールドドリーム(牡6歳)ら、現ダート界のトップクラスがこぞって参戦。

 さらに現在6連勝中で、昨年JRA通算4000勝を達成した武豊騎手が鞍上を務めるインティ(牡5歳)に、JRA女性騎手史上初のGI騎乗で注目される藤田菜七子騎手が手綱をとるコパノキッキング(せん4歳)など、新興勢力も好メンバーがズラリ。2019年最初のGIで、なおかつ平成最後となるフェブラリーSは、例年以上の盛り上がりになることは間違いないでしょう」

 ただし、両記者ともに人気上位馬については、その実力は認めつつも、やや懐疑的な目を向ける。

「インティは今回、ワンターンのコース、芝スタート、1600m戦と初ものづくしですが、武豊騎手が『前走のGII東海S(1月20日/中京・ダート1800m)のように、坂の途中からスタートするコースのほうが心配だった。むしろ、芝(のスタート)は気にしていない』と言えば、同馬を管理する野中賢二調教師も『手前の替え方も少しずつよくなっている。競馬ごとに成長しているよね。他に行く馬がいれば、番手でも、4、5番手でも競馬はできると思う』と、レースに向けて手応えを口にしています。

 しかし最後に、野中師が『(同じ管理馬の)クインズサターン(牡6歳)は(差しの)脚質的に崩れないよね。一方、インティは脚質が脚質だから、大コケがあるかもしれないなぁ〜』と冗談まじりながらも、そう語っていたことが少しだけひっかかりましたね」(松田記者)

「オメガパフュームは過去5勝の内訳が、1800m戦が3勝で、2000m戦が2勝。芝スタートのマイル戦だと、ポジショニングに苦労してロスが生じる恐れがあります。

 コパノキッキングも、短期免許で腕達者ぶりを示したオイシン・マーフィー騎手が『1400m戦で勝ったけど、1200m戦のほうが競馬はしやすい』と、快勝した前走のGIII根岸S(1月27日/東京・ダート1400m)後にコメントした経緯があって、ハミ受けや折り合いに気を遣うタイプ。テン乗りは難しいうえ、距離がさらに延びるのは懸念材料です。

 何にしても、人気を集める組に、不安が浮かび上がる一戦。”荒れる”匂いがプンプンとしています」(吉田記者)

 そうした状況にあって、狙い目となるのはどういった馬だろうか。

「純粋な逃げ馬の好走は、2011年のトランセンド(1着)まで遡(さかのぼ)らなければいけません。また、過去10年で、村山明厩舎が3勝、安田隆行厩舎が2勝、石坂正厩舎が2015年〜2017年まで3年連続で馬券圏内に絡んでいるように、厩舎も含めてリピーターが好走しやすいレースです」

 そう語る松田記者は、昨年の勝ち馬ノンコノユメ(せん7歳)と4着馬サンライズノヴァ(牡5歳)を推奨する。

「ノンコノユメは、東京コースは6勝、2着1回、3着1回、着外2回と好相性。昨秋3戦の出負けが気になるところではありますが、ハマったときの末脚は昨年の根岸S(1着)とフェブラリーSで証明されています。インティ、サクセスエナジー(牡5歳)、ノボバカラ(牡7歳)あたりの先行馬が”激流”を生み出してくれれば、連覇も視野に入ってくるでしょう。

 サンライズノヴァも、東京・ダート1600mは4勝を挙げている得意舞台。昨年はチャンピオンズC(6着)を除いて、9戦中8戦を東京のレースで使われてきました。コースを絞ったのは、後方待機の末脚勝負という戦法を完全に確立したからでしょう。

 前走の根岸Sでは8着に敗れましたが、約2年ぶりの馬体重540kg台での出走でした。プラス4kgだった前々走のチャンピオンズCからさらに2kg増やしての参戦が、昨春のオアシスS(2着。4月21日/東京・ダート1600m)から昨秋のGIII武蔵野S(1着。11月10日/東京・ダート1600m)まで5戦連続で最速の上がりをマークした末脚の、不発につながったのではないでしょうか。

 今回は前走から中2週と間隔を詰めて、体調面は上昇中。きっちり絞れて仕上がってくれば、後方一気に期待がかかります」


巻き返しが期待されるサンライズノヴァ

 サンライズノヴァについては、吉田記者も注目している。

「締まった砂質や良馬場でも、少し含水率が高めの良馬場なら、サンライズノヴァの巻き返しに期待が持てます。4戦2勝、2着2回という東京・ダート1400mのレースに満を持して挑んだ前走・根岸Sで8着。首位争いは間違いないと思っていただけに案外な結果でしたが、いつもと違って3〜4コーナーにかけて気分よく上がっていったことが、敗因のひとつに挙げられるかもしれません。

 そしてもうひとつ、昨年のフェブラリーSもそうでしたが、同馬は外から並ばれるとよくないタイプ。根岸Sでもペースが少し緩んだことで、モーニン(牡7歳)に外から一気に並ばれて前に出られたことが、最後に伸びあぐねた要因となったのではないでしょうか。スムーズに大外に出して、ノンストレスで差す形になれば、一発があります」

 吉田記者はまた、馬場次第ではサクセスエナジーとサンライズソア(牡5歳)にもチャンスがあると見ている。

「スピードの生きる締まった砂質なら、インティの前で運べそうなサクセスエナジーの逃げ残りを狙う、という手もあります。実際のところ、ベストは1400m以下。高速ダートでハナを切って、インティ以下の先行勢が潰しにいかずに可愛がってくれる、という条件がつくのは確かです。可能性は相当低いかもしれませんが、万が一3着にでも残れば、かなりの配当が見込めると思います。

 反対に、乾燥時期らしく含水率が低めで多少力を要す馬場になれば、サンライズソアが面白いです。GIでもGIIIでも3着を続けている相手なりのタイプですが、前々で運んでしぶとく脚を使うのが売り。1600m戦でのポイントとなるのは、好位を取れるかどうかですが、芝でも勝ち鞍があるため、その点においては芝スタートが逆にプラスに働くのではないでしょうか。

 逃げなくても、前にプレッシャーをかけて、叩き合って上がりを要する形に持ち込めば、馬券圏内の好走は十分にあり得ると思います」 大寒波が到来した先週の東京。今週は、ここに挙げた馬たちの激走による”超万馬券”という強烈な砂嵐が巻き起こるかもしれない。