準優勝に終わったアジア杯。日本代表でもっとも存在感を発揮したのは大迫勇也(ブレーメン)だった。

 昨年秋に発足した森保ジャパンは、堂安律(フローニンゲン)、南野拓実(ザルツブルク)ら若い力が台頭、彼らのスピーディで思い切りのいいプレースタイルもあいまって、爽やかな印象を与えた。だが、初めての公式戦となるアジア杯で、彼らは世代交代を印象づけることはできなかった。本番になったら、結局は大迫頼み。そして決勝のカタール戦のように、エースが封じられたら、大袈裟に言えば攻撃陣全体が機能不全に陥った。

 アジア杯を2度経験している香川真司(ベジクタシュ)は、「1次リーグで試合に出てない2、3人の選手が、決勝トーナメントでキーになる可能性が非常に高いと思う。だから選手全員で一丸となって森保(一)さんのもとで頑張ってほしい」と、エールを送っていた。しかし、そのようなキーマンとなるような選手の出現はなかった。

「森保さんはあまり選手を変えないタイプ。まあ、勝っていれば変える必要はないんですけどね」と話したのは伊東純也(ゲンク)だった。その伊東もキーマンになる可能性は十分にあったのだが、現実はそうならなかった。


決勝のカタール戦では無得点に終わった大迫勇也

 大迫が試合に出場したのは7試合中4試合。初戦のトルクメニスタン戦にフル出場し、2得点を挙げたが、右臀部の負傷でその後の3試合を欠場した。準々決勝のベトナム戦で72分から出場して復帰すると、準決勝イラン戦はフル出場で2得点を挙げた。

 イラン戦後、原口元気(ハノーファー)は大迫の存在感について次のように話している。

「サコくんが入ったことはすごく大きかったし、やはり2列目は彼がいることによって生きた。(ここまで)彼がいないなかでもしっかり勝ち切ってこられたというのは、チームとして成長している部分かな、と」

 まさに全幅の信頼を寄せられていた。いるといないとではチームが変わってしまう。大迫が現在の日本代表においてそういう選手だということが、あらためて確認できたアジア杯となった。

 大迫はロシアW杯の前から、「(日本の)攻撃の出来は自分の出来次第」と語るなど、中核選手としての強い自覚を口にし始めていた。ただ、当時それは、プレーにおいてチームの中心であるという意味合いだった。今はそれが、精神的な面にまで及んでいるように思う。
  
 決勝のカタール戦で、ベンチは相手の布陣を読み切れなかった。4バックでくるか5バックでくるかがわからず、それに対してピッチ内でフレキシブルに対応することもできなかった。大迫は言う。

「相手が4バックでくるか5バックでくるかわからない状況で、自分たちが後手を踏んでしまったのが事実です。本当に反省しなくちゃいけない。経験のある選手が、もっと試合のなかで変えるべきだったと思うし、そこは申し訳ない気持ちはあります」

 経験のある選手とは、大迫自身を始めたロシアW杯経験組のこと。そこには自分たちがピッチ内で判断しなくてはいけなかったという反省があった。最近の大迫からは「ゲームの流れを変える」というフレーズもよく聞かれる。それも、ピッチ内の自分たちで判断し、相手に対応していく必要があるという意識からだろう。

「上の世代が抜けて、年齢的にも立場的にも、引っ張っていかなきゃいけないというのは、個人としてもわかっているつもりです。そのなかで優勝できなかったというのは、僕個人にもすごく責任はあると思います。ただ、まだまだ取り返すチャンスはあるので、切り替えて、また続けてレベルアップするしかないと、大会が終わって感じています」

 大迫の中心選手として役割は、ピッチ内での戦術や判断というレベルにまで広がっている。もはや、単に前線で身体を張ることでチームに貢献しているストライカーではないのだ。
 
 森保ジャパンは今後も当面、大迫が引っ張っていくことになるだろう。