吉田麻也(撮影:佐野美紀/PICSPORT)

写真拡大

1-2と1点差に迫ったところで吉田麻也がハンドリングの反則をしたと判定され、カタールにPKが与えられた。

この場面では、相手選手と競り合いながらヘディングしたボールが吉田の手に当たっている。ここで問題なのは、吉田が意図的にボールに手を当てようとしていたかという点だ。

「ハンドリング」が成立するのは、ボールの方向へ手や腕が動き、かつ相手競技者との距離が開いていて十分に避けられる時間があるときに限られる。また、手は動いていなくても、妨害の可能性があるよう不自然に広げられていれば「ハンドリング」となる。(Laws of the Game 2018/19 P102

では吉田の場合はどうだったか。まず、ボールを避けられるような距離ではなかった。次に手が動いていたとしてもジャンプして着地する際の動きでボールをコントロールしようとしたのではない。また手の位置はジャンプするときの自然な位置でもあった。

したがってこれはラフシャン・イルマトフ主審の誤審で、ハンドリングと判定してはいけなかった。もっとも、主審には同情すべき点もある。

というのも、現在は競技規則の解釈が非常に難しい状況だからだ。ベトナム戦でも吉田はコーナーキックからのヘディングが手に当たってゴールに入り、得点を取り消された。これも競技規則どおりならばハンドリングにはならない。

ところが2018年11月に開催された、サッカーのルールを規定する国際サッカー評議会の事務会議で、意図的ではないにしろ手に当たってゴールに入った場合は得点を認めないようにしようという案が出ているという。

だがそこでは今回のPKになったような場面をどう解釈するのかという点については触れられておらず、また、ハンドリングの定義があいまいなまま継続されているため詳しく定義しようという話になっており、3月の国際サッカー評議会年次総会で検討されることになっているというのだ。

つまり、得点の取り消しについては指針が出ているが、PKを与えるかどうかは明確に決まっていない。ベトナム戦のように得点を取り消すという判定と同じ基準でいけば、今回のPKは妥当ということになるが、そう判定するのだったらルールに反するという矛盾を含んでいる。

ルールの狭間が日本を窮地に追いやった。吉田は犠牲となったのである。

【文:森雅史/日本蹴球合同会社、撮影:佐野美樹/PICSPORT】