こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。

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職場の問題の9割は人間関係

 あなたの職場には「困ったちゃん」はいないでしょうか? 「使えない」上司や先輩、「仕事ができない」部下や後輩といった仕事面での「困ったちゃん」や、いつも嫌味を言ってくるようなコミュニケーション面でどうにも波長の合わない「困ったちゃん」は、実はどんな職場でも一定数はいるものです。

 転職の原因の9割は「人間関係」という調査もあるくらい、多くの人が職場での人間関係で悩みやストレスを抱えているのが実情です。「困ったちゃん」への対応は、実は極めて深刻な問題なのです。

 自己啓発書には、よく「そうは言っても相手は変わらない。自分の意識と行動を変えると、相手も変わる。もしくはいなくなる」というアドバイスが載っていますが、実はここに罠があります。

 この方法では、「相手が悪い」、「あの人のことが嫌い、自分とは合わない」という感情をこちらがグッと抑えて我慢をしなくてはいけません。

 ところが、人は感情の動物です。我慢はいつか無理がきます。こちらのストレスが溜まります。

 叱り方、褒め方、指導の仕方、雑談力、コーチング、伝え方など、対人関係で使えそうなスキルは世にたくさん提示されていますが、その奥義を身につけようと修行をしている間に、ストレスはどんどん溜まり、我慢も限界に達してしまうのです。

 ではいったいどうすればいいのでしょうか? 早速解説していきましょう。

ルフィのような相手はキャラだと割り切る

 人気漫画『ONE PIECE』の主人公・ルフィは、「海賊王に俺はなる!」と言いながら、敵と戦っては、たびたび城・牢獄などに捕まってしまいます。そして仲間が必ず助けにやってくる。そう、同じパターンの繰り返しです。なぜルフィは同じようなことばかり繰り返すのでしょうか。それは、彼の「ルフィというキャラ」は変わらないからです。

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 ルフィの仲間・サンジにしても、自分が殺されそうになっている場面でも、大好きなプリンちゃんが可愛い表情をすると目がハートになり、鼻血を流すのと一緒です。「命が危ないのに、女の子を前に目をハートにさせるなんて」と訝しがっても詮無きことです。「キャラ」は変らないのです。そう割り切りましょう。ルフィはサンジにはなれないし、サンジはルフィにはなれないのです。

 キャラなので変わり様がありません。逆に、「キャラだからしょうがない」と考えれば、相手の特異な言動も諦めがつきます。「上司だから」、「普通はこうだから」とあなたが期待する像を相手に押し付けてはいけません。あなたの神経に触る相手の言動も、「キャラだから」と割り切ることで、相手に対するストレスはおどろくほど激減します。

 ルフィはゴムゴムの実を食べると、ゴム人間となり、しなやかで伸縮性を持つようになった肉体から繰り出す技で強くなります。しかし、他のキャラの武器や技は使いこなせません。

 われわれも同じです。人にはそれぞれ持っている武器や得意技があります。しかし、他のキャラの武器や技は上手く使えません。あなたのキャラに適した武器や技が、あなたが苦手とする相手に効果的でないならば、うまくコミュニケーションは取れません。

 ですから「キャラが違う」という前提に立てば、「キャラが違うので相手のキャラに合わせるしかない」とスパっと割り切れるようになるのです。

キャラと割り切れば相手の「持ち味」や「強み」が見えてくる

 キャラが違うことを考慮せず、「同じ人間だから」という視点で相手を見てしまうと、自分との相違点にばかり目がいってしまいますが、自分と違うキャラだとわかると、冷静に相手の持ち味や強みを客観視できるようになります。単純なおバカさんに見えても、どんな逆境でも明るく、前向きに、諦めず突破口を見いだすルフィのように、人の持ち味と強みは表裏一体です。合わない、嫌い、苦手という主観のレンズを通してみると、どうしても相手の持ち味や強みをマイナス面でしか見なくなります。無理にポジティブに見る必要はありませんが、キャラと割り切るとプラス面とマイナス面の両方から客観的に見られるようになりますし、生かし方もわかるようになります。

ラスボスは倒さない限り、必ず再び降臨する

 苦手な上司にオサラバするために転職しても、快適な期間はほんの束の間。苦手だった上司と同じようなキャラは不思議と必ず登場してくるものです。

 そこでうろたえていてはまた元の木阿弥です。ここは、相手は「このゲームの最後に登場するラスボスだと!」と割り切り、攻略する方法を考えましょう。ラスボスを倒さないと永遠にその先は進めません。苦手な相手は「これが彼のキャラだから」と受け止めるよう解説しました。要は、その苦手なキャラをあなたというキャラでどう戦えばクリアできるかを身につけないと、同じようなキャラはたくさんいるので、先に進めなくなるのです。ラスボスというキャラをクリアすることで次の面に進めるというスタンスは受け止めておくといいでしょう。

最後は、「名人」「達人」「天才」と割り切る

 それでも攻略ができないラスボスもいます。そのラスボスは、今のあなたが攻略するにはレベルが違い過ぎるキャラです。このラスボスは職場やあなたに多大なストレスをかけるでしょう。その時はどうするか?

 こんなときは、キャラの捉え方を変えてみましょう。おススメなのは、「名人」「達人」「天才」など、極めてポジティブなネーミングをしてみることです。「できないやつ」と思うと、どうしても、そこに意識が行くし、ストレスも溜まります。そこで、われわれの想像の域を超えた「名人」「達人」「天才」というキャラにしてしまえば、「理解を超える範囲」の人なので、ある意味諦め、「名人」「達人」「天才」の思考・行動パターンに合わせた対応策もみえてくるというものです。

「名人」「達人」「天才」と諦めることで、「さすが、常識の域を超えた面白い行動をするんだな!」とほほえましく思えますし、無理して受け入れようとするストレスからも解放されます。同僚と集まって「うちの使えないアホがさ〜」なんて話していると、そのうち職場の雰囲気が悪くなっていきますが、「うちの天才がさ〜」「いや、うちの名人がね〜」と話していれば、嫌な相手にも次第に愛着が湧いてくるから不思議なものです。

 職場は、さまざまな経緯で集まった仲間とともに、力を合わせて共通の目的地に向かっていく旅と捉えることもできます。そう、『ONE PIECE』の世界と一緒です。予定調和の旅はつまらないもので思い出にも残りません。ドラクエで永遠にスライムを切っているようなものです。「キャラが濃い仲間とのトラブルを乗り越えるゲーム」と考えると職場の日常も明るくなります。

 この域まで達すると、逆に、今までは「絶対無理」と思った人とも、冷静に付き合えるようになります。相手のキャラの受け止め方、生かし方で、あなたが職場で抱えているストレスは大きく変化します。ストレスで体調を悪くする前に、一度試してみることをお勧めします。

筆者:松本 利明