2019年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第2弾)

 昨年末に行なわれた2歳牡馬によるふたつの頂上決戦。GI朝日杯フューチュリティS(12月16日/阪神・芝1600m)はアドマイヤマーズ(牡3歳/父ダイワメジャー)が快勝し、GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)はサートゥルナーリア(牡3歳/父ロードカナロア)が勝利した。


GI朝日杯FSを快勝したアドマイヤマーズ

 アドマイヤマーズはデビュー以来4戦全勝で、サートゥルナーリアも無傷の3連勝でGIを制して、それぞれ今春のクラシックの有力候補に躍り出たと言える。

 一方、年が明けてからのふたつの重賞では、新興勢力の台頭が見られた。GIIIシンザン記念(1月6日/京都・芝1600m)ではヴァルディゼールが、GIII京成杯(1月14日/中山・芝2000m)ではラストドラフト(牡3歳/父ノヴェリスト)が、ともに新馬勝ちからの連勝で見事な勝利を飾ったのだ。

 そうして、今週末に関西でGIIIきさらぎ賞(2月3日/京都・芝1800m)、次週は関東でGIII共同通信杯(2月10日/東京・芝1800m)と、クラシックへの登竜門となる注目のレースが開催される。春の大一番へ向けて、いよいよ役者が出そろいつつある状況だ。

 こうした現状を踏まえて、現時点における3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』をここで発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 前回に引き続きトップとなったのは、ホープフルSで鮮やかな勝利を飾ったサートゥルナーリア。JRA賞の最優秀2歳牡馬は惜しくも逃したものの、ここでは識者4名が1位で評価し、その実力の高さは認められている。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「ロードカナロア産駒がマイル以上で活躍するには、つなぎのクッション性とストライドの大きさが重要。当馬はそれに当てはまっており、中距離以上でもハイパフォーマンスを発揮できる、稀有なロードカナロア産駒と言えます。

 前向きさがありながらも、それをしっかりとコントロールできる精神力は超一流馬のそれ。多少ハミを噛んでもすぐに鞍上の指示に従える素直さが、過去3戦のレースぶりにも表れています。

 スタートが抜群で、外からこられてもリズムを崩さず、馬込みで我慢が利くのは、多頭数の競馬では大事なこと。一瞬でトップギアに入る鋭い反応や馬群を切り裂く勝負根性も特筆ものです。

 ぶっつけで皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)というローテーションが発表されましたが、関東への遠征を短期間に何度もすることによる消耗を鑑(かんが)みれば、このローテーションはアリでしょう。約4カ月ぶり+テン乗り(クリストフ・ルメール騎手が騎乗予定)で挑む皐月賞であっても、馬の特性や能力の絶対値を考えれば、いいイメージしか沸きません」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「ホープフルSであらためて瞬発力の高さを見せつけました。その分、その後に発表されたクラシック本番での鞍上交代は衝撃でした。

 またそれ以上に、前回も記したように”ホープフルSを勝った馬の年明け初戦不振”説を唱える身としては、始動戦がどうなるのか気になっていました。(消耗戦となる)ホープフルSを勝ったあとのローテーションが大事だからです。結局、皐月賞直行となって、その行方が楽しみでもあり、不安でもあります」

 2位は、4戦無敗で朝日杯FSを制したアドマイヤマーズ。前回5位という低評価から、GIを勝ったことで一気に躍進した。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「朝日杯FSの前までは、『確かに強いが、同世代で抜けた存在とまではいかない』という評価をしていました。しかし朝日杯FSでは、これまでの同馬のイメージを塗り替えるほどの完勝劇を見せてくれました。TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)的にも、1戦ごとに大きく数値を伸ばしており、現段階では世代1位です。

 今のところ、すべてマイル戦ばかり使われて4戦4勝。次走は共同通信杯という話が出ていますが、距離が延びてどうか、注目されます。次走でも従来の指数を大きく塗り替えるような走りを見せれば、今後がますます楽しみになっていきます」

土屋真光氏(フリーライター)
「”これ”というものがなく、やや派手さに欠ける分、前回の評価は低かったのでしょうが、派手さはなくとも、常に危なげない走りを披露。そのうえで、結果を出し続けていることは、かなり能力がある証拠です。

 朝日杯FSでも、前を行く人気のグランアレグリアに対して、勝負どころで自ら動いて蓋をしにいって、そのまま後続を完封しました。これを事もなげにやってのけてしまうあたりが、力が抜けている証。現状、距離に課題はあっても、皐月賞までは”あっさり”があると思います」

 3位は、前回2位からひとつ順位を下げたニシノデイジー(牡3歳/父ハービンジャー)。ホープフルSでは3着に終わったものの、ここまで重賞2勝を挙げていて、大きくポイントを落とすことはなかった。

吉田氏
「GIII札幌2歳S(2018年9月1日/札幌・芝1800m)1着→GIII東京スポーツ杯2歳S(11月17日/東京・芝1800m)1着→ホープフルS3着と、2歳の主要レースで好結果を残してきました。洋芝と高速馬場で勝利しているように、馬場を問わずに結果を出してきている点は高く評価していいでしょう。

 前走のホープフルSでは最内枠を生かして、それまでにないぐらいの好位置でレースを運べそうでしたが、惜しむらくは前にいたサートゥルナーリアがポジションを下げたことで、3〜4コーナーにかけて位置取りが悪くなってしまったこと。直線を向いてから追い出すことができましたが、明らかに踏み出しが遅れて、最後は脚を余してしまいました。

 1コーナーで同列だった2着馬(アドマイヤジャスタ)とは、コース取りやスムーズさで見劣っただけで、単純な脚力はニシノデイジーのほうが上という見立てです。レース前半の力みが解消され、もっと乗りやすくなれば、首位との差ももう少し縮まるのではないでしょうか」

 4位は、ヴェロックス(牡3歳/父ジャスタウェイ)。リステッド競走(※オープン競走の中でグレード競走に次ぐ重要な競走)のオープン特別・若駒S(1月19日/京都・芝2000m)を完勝してランク入りを果たした。

市丸氏
「オープン特別の野路菊S(2着。2018年9月15日/阪神・芝1800m)、東スポ杯2歳S(4着)と取りこぼしましたが、それぞれ1着とは僅差でした。そして年明け初戦、若駒Sを快勝して、クラシック候補に躍り出ました。

 次走は、再びリステッド競走のオープン特別・若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)に向かうとのこと。それほど強力な対抗馬も出てこないと思われるだけに、勝って皐月賞なら期待が膨らみます。ホープフルS2着のアドマイヤジャスタとともに、ジャスタウェイの初年度産駒からクラシック馬が誕生するのか、注目されます」

 5位には、3頭の馬がランクイン。前回3位のクラージュゲリエ(牡3歳/父キングカメハメハ)の他、前回ランク外からアガラス(牡3歳/父ブラックタイド)とラストドラフトが浮上した。

土屋氏
「クラージュゲリエは、3着だった札幌2歳Sの勝ち馬ニシノデイジー、勝ったGIII京都2歳S(2018年11月24日/京都・芝2000m)で2着に退けたブレイキングドーンとの比較から、もしホープフルS(3着ニシノデイジー、5着ブレイキングドーン)に出ていれば、それなりに格好をつけていたと思われます。血統的に早熟な点、前走が”モレイラ効果”だった可能性を考慮しても、まだ底を見せていません。次走が今後に向けての試金石になるでしょう」

木南氏
「ダノンラスターの京成杯惨敗は案外でしたが、朝日杯FSでクリノガウディーが2着と好走。ヴェロックスが若駒Sを勝利し、ホープフルS6着のヴァンドギャルドも不利がなければ……という内容だったことを考えれば、東スポ杯2歳S組の力は信じていいと思います。なかでも、そこで2着だったアガラスを高く評価します」

市丸氏
「ラストドラフトは、新馬戦を勝ったばかりで京成杯を勝利。父ノヴェリストはやや小粒な印象を与えますが、母マルセリーナは桜花賞馬で、血統的な裏付けもあります。さらに、母マルセリーナはGIIIマーメイドS(阪神・芝2000m)を勝っていて、距離的な不安もありません。どこまで出世するのか、楽しみです」 春の本番に向けて、今後ますます白熱していくクラシック戦線。その熾烈な争いのなかで、既成勢力が力を示すのか、はたまた新たな有望株が登場するのか。3歳牡馬の熱き戦いから目が離せない。