「飯塚の場合、根本的に“いい人”という共通認識がファンの間にあるところが、いわゆる一般的なヒール人気との大きな違い。急所打ちや噛みつき、凶器攻撃など悪役ファイトに徹していても、どこか“あの飯塚さんがスキンヘッドにまでなって頑張っている”と、温かい目で見守るような雰囲気がありましたね」(同)

 野上アナを襲ってドラえもん風やブラジャー風のペイントを施すときも、それが妙にうまいあたりに生真面目さが感じられた。

 ちなみに、かつてのパートナーである野上は「決して飯塚はいい人ではない」「スカした性格だった」と証言している。しかし、これは飯塚のヒールターン後の発言であり、いい人と言っては商売の邪魔になるとの配慮かもしれず、決して鵜のみにはできない。

 引退発表から数日後の深夜番組で、ももいろクローバーZのメンバーを追い回す飯塚の姿があった。昔ながらのヒールらしいヒールが少なくなった昨今、異色のレスラー人生を歩んだ飯塚の雄姿を胸に刻んでおきたい。

飯塚高史
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PROFILE●1966年8月2日生まれ、北海道室蘭市出身。
身長181㎝、体重107㎏。得意技/アイアン・フィンガー・フロム・ヘル(地獄突き)、噛みつき。

文・脇本深八(元スポーツ紙記者)