ベトナム戦でもネットを揺らせなかった南野。動き自体は悪くないが…。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 準々決勝のベトナム戦後のミックスゾーン。そこには決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦と同じ光景があった。この日もチャンスを仕留め切れず、今大会初ゴールを逃した南野拓実は、2試合連続でミックスゾーンで足を止めずにスタジアムを後にしたのだ。
 
 昨年9月、森保ジャパンが発足し、約3年ぶりに代表復帰を果たした南野は国内での親善試合では絶好調だった。初陣のコスタリカ戦でA代表初ゴールを奪うと、パナマ戦でも1ゴール、強豪ウルグアイ戦では2ゴールと、新生日本のキーマンとして一躍、注目の的となったのだ。
 
 しかし満を持して臨んだアジアカップでは予想外の苦戦を強いられた。初戦のトルクメニスタン戦で沈黙したのを皮切りに出場4試合でノーゴール。オマーン戦では数多くの決定機をモノにできず、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦では微妙なジャッジの連続にリズムを崩され、そしてベトナム戦では2度のビッグチャンスをGKに阻まれた。
 
 決して動き自体は悪くない。オマーン戦では得意のドリブルでカウンターを先導し、サウジアラビア戦では前線からの精力的なチェイシングでチームを助けた。
 
 現にウズベキスタン戦の2日前に24歳の誕生日を祝われた際には「細かいことですが、自分としてはシュートまで、最後のファーストタッチのところも悪い感じはしていなくて、あと少しシュートを浮かせるとか、キーパーをギリギリまで見るとか、そういうところだと思います」と自らの調子を説明していた。
 
 気になるのはトルクメニスタン戦以降、2トップを組んでいた大迫勇也が右臀部を痛めて欠場が続き、南野の負担が増した点だ。元々、森保ジャパンの2トップは縦関係になることが多く、南野は1.5列目でパスを引き出し、中盤のボール回しを円滑にするだけでなく、CFを囮にしながら後方から飛び出してゴールを決めてきた。
 
 だが、大迫の代わりを務めた武藤嘉紀、北川航也がなかなかチームにフィットできず。そのため南野には最前線での起点としての役割も求められ、なおかつ今大会は相手にボールを握られる展開が少なくなかっただけにプレスのスイッチ役も担い、そしてフィニッシャーとしての仕事も務めた。これだけ多くのタスクを任されれば、重要な場面での質が落ちてしまうのもやむなしとの見方もできる。
 
 
 もっともベトナム戦を機に風向きは変わるかもしれない。それは南野にとって最適な相棒と言える大迫が戦列復帰を果たしたからだ。
 
 半端ないキープ力で前線の起点として振る舞える大迫が入れば、マークは分散され、南野はよりゴールへの意識を高められるはず。なによりふたりはこれまで組んだゲームで良好なコンビネーションを見せており、相乗効果でお互いの良さが活きることも期待できる。
 
 次戦の相手は今大会の大本命とされるイランだけに、チャンスはそう簡単には回って来ないだろう。それでも、ここまでの悔しさを返すには絶好の機会だ。日本を決勝に導くヒーローになってもらいたい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)