マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

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「ESPNシアトル」でコラムニストを務めるジム・ムーア氏が引退を提言

 3月20日と21日に東京ドームで行われるアスレチックスとの開幕戦で“現役復帰”する見込みとなっているマリナーズイチロー外野手。昨季途中に球団の会長付き特別補佐に就任したものの、その後もチームでの練習を続けてきた。

 ロースターが25人から28人に拡大される日本での開幕戦でロースターに入ることが濃厚だが、注目はそれが25人に戻る2カード目以降。イチロー本人は50歳現役に意欲を見せており、マリナーズのジェリー・ディポトGMも、開幕戦以後もロースターに入る可能性を否定していない。一方で、母国・日本での開幕戦後に引退するのでは、と見る向きもある。

 その去就について注目を集めるイチローだが、地元メディア「ESPNシアトル」でコラムニストを務めるジム・ムーア氏は開幕戦後での“現役引退”を提言。「イチローは50歳までプレーしたいと発言し、マリナーズのジェリー・ディポトGMはイチローが最初の2試合の後もマリナーズでプレーする可能性を排除していない。私には理解できない。誰かが論理的根拠を説明しようとしたとしても理解したくない」とし、イチローが開幕2カード目以降もロースターに残ることに否定的な見解を示した。

 ムーア氏は日本で行われるアスレチックスとの開幕戦でイチローがロースターに入ることには賛意を示す。「日本で祝福を受けるため、シーズン最初の2試合でイチローをロースターに入れることは良い配慮である。日本での2試合では、マリナーズはロースターを25人から28人に拡大でき、イチローはその中に入るだろう。キャリアをスタートさせた日本で、素晴らしいキャリアを終わらせることは相応しいだろう」と記している。

 昨季は15試合に出場し44打数9安打、打率.205だったイチロー。ムーア氏はこの昨季の働きにも言及し「昨年イチローマリナーズの怪我に見舞われた外野を助けるために復帰した時、上手くいかなかった。この44歳は44打数9安打とし、全てのヒットが単打であった。ディポトGMがすでに今年は再建のシーズンだと言ったように、マリナーズがプレーオフ進出を目指していないから関係ないと言う人もいるかもしれない。イチローが8打数無安打でマリナーズが東京での2試合に負けたとしても、大したことではないのではないか? それには賛成する。しかし、もしその次の試合となる3月28日のT-モバイルパークでのレッドソックス戦で、イチローマリナーズのロースターに入っていたら、私は『よしてくれ、ジェリー!』と叫ぶだろう」とした。

 イチローのプレーや準備に注力する姿勢など、若い選手たちに与える影響の大きさを認めるムーア氏。「クラブハウスでの彼の影響力は分かっている。マリナーズが昨年彼をロースターから外した後に与えた“会長付き特別補佐”という役職で彼をキープすればいい。最初の2試合の後もイチローが現役選手でいるというナンセンスには賛成しない。マリナーズはどのみちプレーオフに進出しないだろう。チームが再建中のため観客数が減ると予想される中、イチローは観客を呼べる存在だろう。だが、時として、マリナーズは球団がどう見えているのか考えたことがあるのか疑問に思う。マリナーズのプレーオフ未進出期間はプロスポーツにおいて最長となる。正直、過去を振り返るのには飽きたし、イチローがいると、また2001年を振り返ることになる」と厳しく指摘している。

 2001年を最後に17年連続でプレーオフ進出を逃しているマリナーズ。それだけにムーア氏は「最盛期をかなり過ぎ、2023年…もしくは2027年、2030年にア・リーグ西地区で優勝した時にいない選手よりも、将来のプレーオフで活躍できる可能性のある選手が見たい」との思いを示す。

イチローからしてみれば、長い間プレーして素晴らしい成績を残した野球を諦めることが難しいことは間違いない。しかし、私からしてみれば、衰退するスーパースターよりも輝かしいスーパースターとして覚えていたい。私はイチローのことをヒットを打ちまくり、ほとんどの選手にとってはゴロとなる打球を内野安打とする選手として覚えていたい。またキャリアを傷つける選手を見たくない」と綴った同氏。果たして、イチローの去就はどうなるのだろうか。(Full-Count編集部)