友人に「学校の先生をやるから、一緒に来ないか」と誘われ、1993年に来日。以来、日本での暮らしは25年になる、お笑いコンビ「パックンマックン」の、パックンことパトリック・ハーラン。四半世紀住んだ日本だが、違和感を感じることも少なくない。

「今なら『騒音アレルギー』。5年ほど前、子供が自宅の庭で遊んでいると、近所の人から『うるさい』と怒られたことがありました。

 最初は『なんで?』と思いましたが、日本人は、みんな静かに生活していく、という『暗黙の了解』を共有しているんだと気づきました。結局、子供を外で遊ばせる時間を減らしました。

 これってじつは、日本人も暮らしにくいと思っているんじゃないかなぁ。言いたいことを我慢しすぎるような暗黙の了解は、おかしいと思います」

 そして今でも、日本人から「偏見」を感じることがあるという。

「たとえば、僕がお箸で食事をしていると『使い方が上手ですね』と言われます。もう25年も住んでいるのに、やっぱり外国人として見られるんです。『優しい偏見』ですね」

 1993年の来日当初は就労ビザを取得、福井県で英会話学校の講師として働いた。その後、アマチュア劇団、モデルなどを経て、日本人女性と結婚。現在は永住権を持っている。

 そんなパックンが近著『「日本バイアス」を外せ!』で、日本の外国人労働者政策について、自らの意見を記している。

「外国人技能実習生が5年間も頑張って、仕事の技術だけでなく、言葉の能力も理解度も向上して、会社に貢献できるような人材に育ったところで、母国に帰してしまう。これは本末転倒だと思います。

 技能実習生に、特定技能の1号や2号、さらに日本の永住権といった将来的な選択肢があれば、日本で車を買おう、家を建てよう、家族を持とう……と、日本での未来を考え、消費行動も変わってきます。

 長く日本に暮らして、日本を支えてもらう。そのためには、普通に暮らしていける最低の賃金保証も必要です」

 日本人は外国人に対して、「なにかと意識しすぎる節がある」とパックンは感じている。

「外国人は、日本にはない知識や、文化的な背景を持っています。その『インテリジェンスの部分』をうまく融合して、新しい仕事につなげていけばいい。

 僕が来日した25年前に比べたら、明らかに外国人の人数は増えていますが、日本の社会はうまく機能しています。自己責任感、清潔さや治安のよさなど、日本のよい点に誇りを持ちつつ、外国人と共存していくべきです」

ぱとりっくはーらん
1970年11月14日生まれ アメリカ・コロラド州出身 ハーバード大学を卒業後、1993年に来日。1997年にお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。現在は芸人として活躍するほか、東京工業大学の非常勤講師も務める

(週刊FLASH 2019年1月22日号)