凜とした表情で青森山田の表彰を見つめた関川。敗北を味わったが、後悔はない。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[高校選手権・決勝]青森山田3ー1流経大柏/1月14日/埼玉

 関川郁万は1年前の忘れ物を取り返せず、高校サッカーに別れを告げた。
 
 1月14日、高校サッカー選手権の決勝が行なわれ、流経大柏は青森山田に1-3で逆転負け。11年ぶりの大会制覇は叶わず、準優勝に終わった前回大会の雪辱は果たせなかった。
 
 負けた瞬間、関川は涙を見せずに天を仰いだ。劣勢の展開から得意のヘッドでチームに先制点をもたらしたものの、その後は3失点。準決勝では完封勝利へのこだわりを口にしていただけに、責任を感じていたとしても不思議ではない。ただ、関川は試合後にミックスゾーンへ現われると、“やり切った”と言わんばかりに清々しい表情を見せて想いを明かした。
 
「すっきりはしていないですけど、開き直っている。去年は俺があそこで競り勝てていればとか、もう少し自分がラインを上げて、シュートブロックができていればという想いがあった。でも、今年はまったく後悔していなくて、負けた瞬間は頭に何も思い浮かばなかった」
 
 準決勝まで関川は何度も“優勝したい”と話し、去年の借りを返すことを最大のミッションに置いていた。それを考えると、もっと感情を露わにしてもいい状況だったが、怪物CBは冷静に敗戦を受け止め、素直に本田裕一郎監督へ感謝の言葉を述べた。
 
「本田先生の下でやれて、感謝しかない。先生のところでやっていなければ、人間性も磨かれなかったはず。今でも流経大柏に行ってなかったらどうなっていたのかなと考えるんです。本当にこの3年間、監督の下でいい経験ばかりさせて貰えたので本当に感謝しかありません」
 
 日本一は獲ったのは2年次のインターハイだけだが、この3年間で関川は多くの経験を積んできた。本田監督のもとで入学早々からレギュラーを掴み、夏のインターハイでは決勝に出場。2年生の時には夏の全国を制し、冬の選手権もファイナルのピッチに立った。今年は無冠に終わったが、最後の冬は準優勝を飾り、目標としていたプロ入りも叶えることができた。十分に胸を張れる結果だ。
 
 16日から鹿島に合流する関川。本田監督のもとで一回りも二回りも成長した男は、次の目標である「A代表入り」を叶えるべく新たなスタートを切る。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)