脳科学者の茂木健一郎さんが1月10日、オフィシャルブログで「ネイティブの発音といっても、どれですか」という記事を更新した。

英語の発音はネイティブにできるだけ近づけるべきだという主張に、「ネイティヴの発音といっても一つではない」と疑問を呈している。

「英国から見ると、アメリカの英語はなまっているように聞こえる」

茂木さんが反応したのは、ネイティブを真似ることで英語を習得しようと呼びかけるあるツイッターアカウント。この英語学習のアカウントは1月9日、「言語習得はネイティブを真似るのが基本で、非ネイティブがデタラメ英語を作り出す事ではありません」「ネイティヴじゃない人が話すヘタクソな英語、まったく価値はありません」と別のアカウントにリプライを送っていた。

ツイッターでこのアカウントに反論していた茂木さんは1月10日付けのブログで、

「ぼくが一番慣れている英語のオックスブリッジの発音は、英国内ではすべてではなくて、ロンドンの下町訛り(いわゆるコックニー)もネイティヴである」

と指摘。イギリス国内で話されている英語は、地域によってアクセントや発音が異なる。また茂木さんが「英国から見ると、アメリカの英語はなまっているように聞こえる」とも指摘するように、イギリス国内で話されている英語とアメリカ国内で話されている英語の音は、やや異なっている。

「だから、ネイティヴの発音といっても、どれですか、というのが素朴な疑問なのだが、それはさておき、ぼくの長年の経験だと、なまっているとかそういうことは気にせずにコミュニケーションのツールと割り切るのが最適な戦略のように思われる」

ネイティブスピーカーの発音が多様で、唯一の正解があるわけではない以上、発音にとらわれすぎない方がよいということだろう。多少発音が悪くても、英語を使ってコミュニケーションを取れることが重要だ。

「結局は多様性で、正しい発音があるとか、それ以外はダメだというのは、基本ダサい考え方だと思う」と主張していた。

英語が世界中で話されるようになり、シンガポールで使われる独特の英語「シングリッシュ」やインドで話される「ヒングリッシュ」も生まれた。日本人も英語の正しさにこだわらず、どんどん英語を使ってしまえばいいのかもしれない。