裁量労働制のデータねつ造、障害者雇用率の水増しなどに続き、安倍政権の下で、国民の雇用・労働などに関わる重要なデータが、またしても、ずさんに扱われていたことが問題になっています。厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」が誤った手法で実施されていた問題です。昨年末に発覚し、9日には、同調査をもとに給付水準が決まる雇用保険や労災保険の過少給付が起きていることも明らかになりました。

 毎月勤労統計は、現金給与額や実質賃金などの動向を調べる国の重要統計です。調査対象は全国の約3万3000事業所。従業員500人以上の事業所については全数を調査すべきところを、東京都分では、約1400事業所のうち約500事業所の抽出調査としていました。賃金が高い東京の大企業の件数が少なくなったため、本来より賃金データが低くなっている可能性があります。

 不適切調査は2004年から行われていたとみられます。同統計の結果は、雇用保険や労災保険のみならず、国内総生産(GDP)の算出などでも使われており、影響が拡大する恐れがあります。

 厚労省は問題を昨年12月中旬までに把握。根本匠厚労相も同20日に報告を受けていたことを明らかにしていますが、同省は問題を隠ぺいしたまま同21日に10月の確報値を発表しています。

 根本厚労相は今月8日の閣議後記者会見で、「全数調査と公表していたものについて抽出調査を行っていた」とようやく一部の事実を報告した上で「事実関係を徹底的に調査するように指示した」と説明。発表が年明けになった理由や問題発覚の経緯については「調査した上で話すのが大事だ」「発覚時期と経緯を含めて調査している」などと述べました。

 同省は9日にも、誤った調査方法に基づく、毎月勤労統計調査の昨年11月分の結果速報を発表。調査手法の問題については、「調査中」と注釈を付けるだけで済ませました。