大迫を軸と攻撃が今後も鍵となるはずだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 嫌な流れで、手痛い先制パンチを食らった。

 アジアカップで覇権奪回を目指す日本は、グループリーグ初戦で格下のトルクメニスタンに思わぬ苦戦を強いられる。立ち上がりからボールをキープしながらも決定機を作れず、膠着状態に持ち込まれてしまった。

 思い出されたのが、2018年ワールドカップ・アジア2次予選のシンガポール戦(ホーム)だ。前半からボールを支配したが、ほとんどチャンスを作れないままスコアレスドローに終わった試合だ。日本の攻撃に迫力はなく、ただボールを繋いでいるだけ……。引いて守る相手の術中にはまってしまった。

 トルクメニスタン戦の前半、日本は攻めあぐねているように見えた。シンガポール戦のようにゴールの予感はせず、むしろカウンターから崩されそうなシーンもあった。そんな展開で26分、トルクメニスタンの7番、アマノフに強烈なロングシュートを決められてしまう。

 日本の守備がルーズ、マークが甘い、とそんな見方もできるが、正直、あの一撃は相手を褒めるべきではないか。

 いずれにしても、なかなかお目にかかれないスーパーゴールだった。これで苦しい展開を余儀なくされた日本は流れを掴めないまま前半を終える。足もとでつなごうとする意識が高いせいか、前半に限れば日本の攻撃にそこまでの怖さはなかった。トルクメニスタンの先制弾のような思い切りのよさ、これが決定的に欠けていたように映った。
 
 だが、シンガポール戦と同じ轍は踏まなかった。後半の日本はつなぐことに固執せず、よりシンプルに最前線にボールを預けるようになり、これが結果的に功を奏した。

 日本の最前線を任されたのは大迫勇也。アジアレベルでは間違いなくトップクラスのストライカーで、その彼にボールを集めるという戦い方は極めて妥当だった。

 ドリブルで局面を打開できる中島翔哉が不在の状況で、大迫に良いボールを集めたのが左サイドハーフを担った原口元気だった。ボールをこねず、より直線的な仕掛けで大迫にボールを預け、そこから自分もシュートに絡もうとする原口のアグレッシブなプレーがトルクメニスタンの守備網に風穴を開けた。

 その原口のチャンスメイクもあって、大迫は2ゴール。確かに3-2と辛勝だったが、取るべきエースストライカーが結果を残したのは大きい。アジアレベルの戦いならもっと大迫に頼っていいはずなのだ。頼ったうえで大迫へのマークが厳しくなるようなら、堂安律や南野拓実を上手く使えばいい。“大迫ありきの攻撃”こそアジア制覇へのポイントのひとつになるはずだ。
 4年前のアジアカップ、日本はグループリーグに限れば圧倒的な強さを見せつけた。初戦でパレスチナに4-0、続くイラク戦を1-0でモノにし、3戦目もヨルダンを寄せ付けず2-0と完封勝利を飾った。日本、強し、を印象付け、大会連覇への期待は膨らんだ。しかし、結果は準々決勝敗退である。UAEのカウンターに守備網を引き裂かれ、PK戦の末に敗れたのだ。個人的に敗因のひとつは、「油断」にあったと考えている。

 それから4年後、日本はグループリーグ初戦で“良い苦戦”をした。やはり日本が格下相手に失点しやすいのはカウンターからであり、それをトルクメニスタン戦で再認識できた点で今回の先制弾、さらに後半にPKを与えたシーンは最高の反省材料になったはずだ。舐めたらやられる──。それを体感できただけで十分に収穫だろう。
 
 3-2というスコアが示す通り、トルクメニスタンに苦しめられた、しかし、結果的に勝ったのだから問題ない。目標はあくまで優勝だ。初戦の反省を生かし、決勝トーナメントに向けてコンディションを上げていけば、それでいい。

 過去のアジアカップを振り返っても、日本は簡単に優勝しているわけではない。むしろ苦しい戦いを乗り越えることで逞しくなり、勝負強さを発揮して、トーナメントを制してきた実績がある。トルクメニスタン戦の苦戦はむしろ“吉兆”を示すものではないかと、個人的にはそう捉えている。

文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

【日本代表PHOTO】日本3-2トルクメニスタン|森保ジャパン、ハンパない大迫と堂安のゴールで初戦を勝利で飾る!