俳優の永瀬正敏と女優の菜葉菜(なはな)のW主演による映画『赤い雪』の完成披露試写会が7日、都内でおこなわれ、永瀬と菜葉菜、共演の井浦新と、メガホンをとった甲斐さやか監督とともに登壇した。現場入り後気負い過ぎを心配された菜葉菜らを、永瀬や井浦らが気遣っていた様子やエピソードなどを振り返った。

 『赤い雪』は、過去に、ある事件で弟を失ったことを、自身の過ちととがめ続けながら生きる一人の男が、事件を追い続ける記者との出会いを機に、事件の容疑者の娘と遭遇、不確かだった昔の記憶が掘り起こされ、衝撃の真実が現れていく様を描いたストーリー。過去の弟の失踪事件で暗い闇を抱えた男性・白川一希役を永瀬、弟を誘拐したとされる容疑者の娘・江藤早百合役を菜葉菜、事件の真相を追い二人をめぐり合わせる記者・木立省吾役を井浦が務める。

 脚本も担当した甲斐監督にとっては、今作が長編作品デビューとなっており、マラケシュ国際映画祭のコンペティション部門に、正式出品が行われている。また、映画に使用される音楽は、YAS-KAZが担当しており、作品のミステリアスな世界観をさらに印象深いものにしている。

永瀬正敏

 「10年に1本」と呼ばれるほど、方々より絶賛を受けたという本作の脚本。その圧倒的な脚本力に大いに感銘を受け、出演を決めたという永瀬は「この作品に参加したい、身を置きたい、という感覚を一番(に持って現場に入りました)。役については真っ白な状態にして、監督に染めてもらおうと。作品を作りながら一希の人物像を作り上げられればと思っていました」と現場入り時に抱いていた自身の思いを振り返る。

菜葉菜

 菜葉菜、井浦も同様にその作品のオーラに惹かれていた様子を回想。しかし、クランクイン後の菜葉菜の印象について永瀬は「280%くらいで、現場に立たれていましたね」とかなりの意気込みで現場入りを果たしていた様子を感じたことを明かしながら、時々ちょっかいを出していたなどと冗談っぽく語りつつ「こういう役をやると、どうしてもこういう風に(視野が狭く)なりがちになるから」と菜葉菜を気遣っていた様子を明かす。

井浦新

 一方、井浦も現場に向けてそんな気遣いを発揮、合間には永瀬や菜葉菜を食事に誘うなどしていた井浦に、菜葉菜は「新さん、お父さんみたいでした」とコメント、永瀬も「(よく)セッティングしてくれていました。“ロケハン”(現地の名所の下調べ)までしてくれて…」などとコメント、会場を沸かせる。

永瀬正敏

 井浦は少し照れた表情を見せながら「台本を読んでいる段階で、二人(の役)は背負い過ぎている感じ、読んでいるだけでも大変だなと思っていました。(対して)僕は気楽な感じで、お二人とお芝居をして“何が生まれるのかな”と楽しみにしていたくらい。だからとにかく現場を楽しもうと思っていたんです。それで空いた時間は”今晩ここに行こう”と散策したり…」と自分なりの視点で現場に向き合っていた様子を明かしていた。

井浦新

菜葉菜

 そして菜葉菜はそんな永瀬や井浦らとともに、演技前には激励し鼓舞してくれたという佐藤浩市との共演や、同じ女優の立場としてケアしてくれたという夏川結衣ら共演者の後押しを振り返りながら、現在の思いを「周りが見えないくらい自分でもがいていたけど、本当にたくさんの人に支えられててくれたんだなと、(終わった後に)本当に痛感しました」と感慨深く語った。【取材・撮影=桂 伸也】