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元日本代表、パナソニックでは主将を務めた霜村誠一が監督として聖地に帰ってきた。自身の経験と人脈を活かし、就任からわずか4年で桐生第一を初の花園へ導き、見事初舞台で初勝利を収めた。

日本ラグビー界の第一線を走り続けてきた霜村誠一

選手時代は東農大二高(群馬)で花園に出場。進学した関東学院大では3度の日本一を経験。その後トップリーグの強豪・パナソニック(前・三洋電機)に加入し主にCTBとして活躍。主将を務め、4季連続のベストフィフティーンを受賞するなど日本ラグビー界の第一線を走り続けてきた。

パナソニック時代に2度目の大学に通い、保健体育の教員免許を取得。教員1年目は選手を続けながら務めた。その後は現役を退き教師に専念。「朝起きた時に体が痛くないんです(笑)」現役時代の大変さと比べた。

監督就任後、周囲からは多くの応援がある一方で「トップリーガーだからといって勝てるわけではない。」という冷静な声もあった。県内には花園常連校の明和県央の存在もある。しかし自分にできることを探し体現し続けた。そこは現役時代と変わらない。

元トップリーガー・霜村誠一だからできること

トップレベルに身を置いてきた経験を選手たちに伝える。スキルだけではない。「自主性をいちばん大切にしています。」ラグビーは試合の中では常に自分たちで状況判断をしなければならない。その能力を育てられるようなコーチングを心掛ける。

学校には専用グラウンドがなく、普段は約35メートル四方の狭いコートで練習を行っている。そのため週に1〜2回、自らが運転するマイクロバスで古巣・パナソニックのグラウンドへ向かう。そこでは、2015年W杯で南アフリカからの歴史的勝利に貢献したホラニ龍コリニアシと元韓国代表の劉永男から高校生が直接指導を受けられる環境がある。パナソニックで選手とコーチの兼任している2人にコーチングの機会を与えたいというパナソニック側からの提案だった。さらに、新たなステージで戦う霜村を後押しするかのように、練習を終えた田中史朗やベリック・バーンズといったトッププレイヤーたちが次々と集まり、選手たちへ指導することもしばしば。

贅沢すぎる環境だ。「まさか(就任してから)4年でこんな環境になるとは思っていなかった。元チームメイトたちが自分の教え子たちを指導してくれるなんて本当に感慨深いですね。」霜村の人望の厚さがうかがえた。

選手たちは目を輝かせながら、熱心に質問を投げかける。チームの司令塔・齊藤誉哉も「この環境は日本一だと思う。こういった場所でできることに感謝にて頑張りたい。」と花園への意気込みを語っていた。

指揮官として挑んだ初の花園

『ディープインパクト』をテーマに初舞台を楽しもうと選手たちを鼓舞した。新調したジャージーで挑んだ1回戦は米子工(鳥取)を相手に110-0の完封勝利。縦横無尽にグラウンドを駆け巡る選手たち。「はじめは緊張していましたが、選手たちが楽しそうで僕もだんだんワクワクしてきました。」選手たちからエネルギーをもらったと笑顔で振り返った。

続く2回戦の相手は全国制覇5回の強豪・常翔学園。ホラニ龍コリニアシと劉永男も群馬から駆け付け、ベンチで見守った。結果は実力の差を見せつけられ67-0と完敗。しかし最後までひたむきにタックルをし続ける姿勢は聖地に確実にインパクトを残した。

「アタックする場面は少なかったが、仲間を信じてチャレンジしてくれて・・・選手たちが本当に一生懸命やってくれた。」涙をぬぐいながら力強く語った。選手たちに見せた初めての涙。「泣かされましたね、ヤツらに。本当にいい子たちで本当にいいチームだった。来年も花園に来ます。」3年かけて作り上げてきたチームが終わってしまう寂しさから溢れ出た涙だった。

花園出場は通過点。狙うは桐生第一の監督としての日本一。そのためには自らも学ぶことをやめない。監督に就任してコーチングスキルだけでなく、チーム・組織のあり方に興味を持つようになった。その興味を深めるべく、現在は自身3回目の大学となるビジネススクールに在籍している。勉強は深夜まで続く。「色々な人から色々な刺激を受けている。もっと色々なことを選手たちにしてあげたい。」霜村誠一はまだまだ大きくなる。群馬のラグビー、いや日本のラグビーに桐生第一旋風が起こる日もそう遠くないかもしれない。

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