母とヨーロッパへ行く

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 母と娘が旅行する。行先は国内ではなくヨーロッパ。それも一回だけでなく、毎年のように出かける。何ともうらやましい。本書『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』(講談社)は、そういう「贅沢」を実践している太田篤子さんの体験記だ。同じようなことを夢みている人の参考になる。

理由は「気楽だから」

 よっぽどお金と時間がある人だな、と思われてしまうに違いない。太田さんの経歴を紹介すると、大学で英文学を専攻。卒業後は百貨店に勤め、カーレーサーの夫と結婚。のちに夫が立ち上げたモーターブランドの会社で働いている。

 正確な年齢は明かされていないが、母との2人旅行を始めた2009年に、太田さんは40代後半で、母は60代後半だったという。

 夫は1998年、レース中の大事故で瀕死の重傷を負い、3年間看病に追われた。母との海外旅行を始めたのは、夫が奇跡的に社会復帰できて、子育てに手がかからなくなってからだ。

 なぜ母との旅行なのか。第一の理由は「気楽だから」。夫とは同じ仕事をしているから一緒に休めない。友人たちとは、スケジュールの調整が大変だ。すでに父は亡くなっており、母は独り暮らし。太田さんの予定に合わせることができる。母娘なら気心が知れていて旅のストレスが少ない。何よりも親孝行をしているという実感がある。太田さんは母娘旅行を10年も続けている。時には太田さんの妹や娘も同行する。

文学好きだということが幸い

 とはいえ、母と二人、しかも団体ではなく個人旅行で海外となれば、何かと大変なことは容易に想像できる。どうやって旅行先を決め、飛行機やホテルの予約をしているのか。その詳細は「プランを立てる」という章で説明されている。

 太田さんも母も本が大好き。「須賀敦子さんにちなんだイタリアの旅を」「英国の女流作家、ジェーン・オースティンの創作の舞台を見て回りたい」。このあたりの目的地選びは、母娘ともに読書家で、文学好きだということが幸いしている。

 行先の目星がついたら、どこへ行くか絞り込む。母がテレビで見た旅番組などを参考にすることもあるが、基本はグーグルマップだという。「付近検索」で訪問先の周囲の様子などを徹底的に調べる。ホテルの予約には最小限の英語力が必要なのは言うまでもない。このほかフライト予約、レンタカー、電車やバス、スマホやネット環境などの説明も。「お土産を買うタイミング」や「装いと持ち物」などについても補足されている。

 写真も豊富に掲載されている。実際に出かけたときの旅行プランやスケジュールも再録されている。レイアウトもすっきりしていて、読みやすい。母と一緒に個人旅行でヨーロッパに行くことを考えている人にとってはバイブルになるのではないだろうか。

書名:  母とヨーロッパへ行く
サブタイトル: 母+娘=100歳~の旅
監修・編集・著者名: 太田 篤子 著
出版社名: 講談社
出版年月日: 2018年11月24日
定価: 本体1400円+税
判型・ページ数: A5判・144ページ
ISBN: 9784065130797


(BOOKウォッチ編集部)