提供:週刊実話

写真拡大

 米国議会が『台湾旅行法』を今年3月16日に成立させたのに続き、12月20日に『チベット旅行法』(正式名称:チベット相互入国法)が成立した。

 台湾旅行法は、米国が1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を制限してきたことを改め、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問を可能にした。

 また、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員などすべての地位の米政府当局者が台湾に渡航でき、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。

 加えて、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に、米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれており、内容的には実質的な国交回復となった。

 台湾を不可分の領土とみなす中国が、米台の接近に危機感を抱き、「1つの中国」原則に反するとの理由で、猛反発したが、このときの米国務省は、台湾旅行法が、米台関係の変化を意味するものではないと両国関係の抑制に努めた。しかし今回のチベット旅行法は、米国が中国による民族弾圧を認めない意思を示したものと言える。

 「同法の成立に向けて、チベット系アメリカ人団体やインドにあるダライラマ政府などが米国議会に働きかけてきましたが、中国のロビー工作が阻止に激しく動いたため、米議員らのチベット自治区への理解は稀薄でした。こうした状況下、下院においてジム・マクガバン議員が中心となって超党派の議会工作が続けられてきたのです。チベットには、米国人外交官や公務員、ジャーナリストらの旅行が許可されず、また一般の米国人観光客も団体ビザしか下りないため行動は制限され、ホテルの限定など厳しい条件が付きます。この処置は日本も全く同じです」(中国ウオッチャー)

 当然チベット系アメリカ人の里帰りも認められず、家族と長きにわたって連絡の取れない人々が世界に散らばっている。もちろん、日本にも相当数のチベット人が暮らしているが、本国との連絡を取ることは容易ではない。

 「同法は米国人の自由なチベット入境が許可されない限り、中国側のチベット官憲も米国入国を認めないとするもので、西側のジャーナリストなどが自由に入国し、取材することができれば、中国のチベット弾圧を世界に知らせることができるようになるでしょうね」(同)

 さて習近平中国国家主席は、チベット旅行法成立で米国をどう非難する?