トラック運転手が使用している、居眠り防止センサー。耳に掛け、頭が一定以上傾くとアラーム等が作動する

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「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。
 前回は、「東名あおり運転事故に見る、煽る側と煽られる側の特徴」を元トラックドライバーの目線から解説したが、今回は、現役のトラックドライバーを対象に実施した「眠気対策」に関するアンケートの結果を紹介していきたい。
 全てのドライバーが安全運転に努めるうえで、最も厄介だとする生理現象の1つが、「睡魔」だ。
 そこで今回、運転のプロであるトラックドライバーが、普段どんな「眠気対策」をしているのか、アンケートを実施。SNSやサービスエリアでの聞き取りなどから、合計92名の意見を得られたので、トラックドライバー特有のものから、一般ドライバーにも適用できるものまでをいくつか挙げていこうと思う。
◆トラックドライバーたちが実践する「眠気対策」
1.スルメを噛む
 一般的に、眠気対策の代表的なアイテムとして知られているのは、「ガム」だろう。が、すぐに味がなくなるため、長時間運転するトラックドライバーらからは、あまり評価は高くない。その代わりに重宝されているのが、「スルメ」だ。
 スルメはガム以上に顎運動を必要とし、味が失われることもない。むしろ、噛めば噛むほど味わい深くなっていくため、飽きることなく長時間噛み続けられるのだ。
 今回のアンケートでは、なんと37名ものドライバーが「スルメを噛み続ける」と回答。日本の物流の一部は、「干されたイカ」によって支えられていると言っても過言ではなかろう。
 が、中には「スルメによる眠気対策」に異を唱えるドライバーも。理由を問うと、こんな答えが返ってくる。
「オレ歯ぁ無えんだ」
 以前にも同じような話を紹介したことがあるが、トラックドライバーには、歯が悪い人が多い。
 不規則な仕事柄、歯を磨くタイミングがなかったり、重いモノを持ち上げる際に歯を食いしばったり、定期的に歯医者に通えなかったりするのが原因として挙げられるのだが、それでも笑顔でトラックに乗り込み去っていく「歯のない彼」に、心からの「お疲れ様」が芽生えるのである。
◆意外にもコーヒーは不人気
2.窓を開ける
 特にこの季節、冷たい風を車内に取り込むと、眠気は一気に飛んでいくため、こまめな換気は有効な眠気対策になる。また「換気」は、車内の温度を変えるだけでなく、眠気の原因となる二酸化炭素を逃がすためにも重要になるため、長時間運転する際は季節に関わらず、全てのドライバーに必要なことだといえるだろう。
 ただし、乗用車が高速道路などを走行している際に窓を開けると、空気の流れの変化でハンドルを取られたり、車内にあるモノが車外に吸い出されたり、子どもが車外に体を出そうしたりするなど、多くの危険が伴うことがあるため、十分に注意する必要がある。
3.飲み物の摂取
 今回のアンケートでは、2種類の飲み物を支持する声が多く挙がった。
 そのうちの1つが「炭酸飲料」だ。
 炭酸飲料を飲むと、喉や胃がスカッとし、眠気が飛ぶと感じる人も多いだろう。が、炭酸飲料が眠気対策にいいとされるのには、それ以外にも「血中の二酸化炭素濃度を上げ、血管を拡張させることで、眠気解消に必要な酸素をより多く脳に運ぶ働きがある」という、れっきとした科学的根拠もあるのだ。
 一方、眠気対策の定番アイテムとも言える「コーヒー」は、「ガム」同様、トラックドライバーからはそれほど高い支持を得ていないようで、今回のアンケートでは少数派だった。
 そのコーヒーの代りとして今回挙げられた2つ目の飲み物が、「エナジードリンク」だ。
 エナジードリンクにはコーヒー同様、カフェインが多く入っており、飲めば眠気解消の効果があるとされている。が、その反面、こちらもコーヒー同様に「トイレが近くなる」という弱点があるため、時間に追われるドライバーがエナジードリンクのプルタブを開ける時、一瞬「尿意」と「眠気」を天秤に掛けることがある。