2018年の中央競馬もいよいよクライマックスが近づいてきた。注目のGI有馬記念(中山・芝2500m)は12月23日に行なわれる。

 牝馬三冠を達成し、ジャパンCまで制したアーモンドアイこそ出走しないものの、今年の中央競馬を引っ張ってきた16頭が出走。豪華メンバーが繰り広げる激闘は、見応えのあるものになりそうだ。

 さて、有馬記念の過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は6勝、2着2回、3着1回、着外1回と、相当な好成績を誇っている。その一方で、2008年には1番人気のダイワスカーレットが勝ちながら、3連単が98万5580円という高配当をつけた。1年の最後に、たびたびビッグボーナスをもたらしてくれるレースでもある。

 こうした傾向について、日刊スポーツの松田直樹記者はこう語る。

「有馬記念は、コアなファンはもちろん、普段は馬券を買わないライト層も多く参加する”お祭りレース”です。そのため、著名馬に投票が集中する傾向が強く、上位人気の馬は否応なくオッズが低くなる傾向があります」

 つまり、逆に人気の盲点となる馬は、普段以上に高いオッズがつきやすい、ということである。そうした馬を見逃さないことが、オイシイ馬券をゲットするポイントになりそうだ。

 そして、今年のレース展開については、デイリー馬三郎の吉田順一記者が、今の中山の馬場とメンバー構成を鑑みて、次のように分析する。

「12月15日に行なわれた2歳500万下・ひいらぎ賞(中山・芝1600m)の勝ちタイムが1分33秒7。同じ日に行なわれたGIIIターコイズS(中山・芝1600m)の勝ちタイムが1分32秒7と、現在の中山競馬場は時計の出やすい舞台となっています。

 そのうえで、今年のメンバーは自分で競馬を引っ張って好成績を収めているキセキ(牡4歳)をはじめ、オジュウチョウサン(牡7歳)、クリンチャー(牡4歳)、ミッキーロケット(牡5歳)など、早めの競馬でタフな展開に持ち込みたいタイプがそろっています。ロングスパートも利く地力馬も多く、勝負どころからはかなり出入りの激しい競馬になるかもしれません」

 こうした状況を踏まえて、両記者はどのような馬を波乱の”主役”として推奨するのか。

 松田記者は、「近走で見せる先行力は小回りの中山向きで、今度も激走が期待できるキセキを推したいのですが、『穴馬』とは微妙に言えないので……」と前置きしたうえで、関東の”隠れた”実力馬の名前を挙げる。

「穴候補の1番手には、ミッキースワロー(牡4歳)を指名します」


中山向くミッキースワローが波乱を起こすか

 昨年のGIIセントライト記念(中山・芝2200m)で抜群の切れ味を見せて、皐月賞馬のアルアインを完封してみせた。しかし、以降は勝利から遠ざかっている。はたして、この華やかな舞台で巻き返すことができるのだろうか。

 松田記者が続ける。

「今春のGI大阪杯(4月1日/阪神・芝2000m)の週に、ミッキースワローの主戦ジョッキーである横山典弘騎手とじっくりと話をする機会がありました。その際、横山典騎手は『(ミッキースワローは)大きな舞台を勝てる馬。俺が”楽しみだ”っていう素材。それだけで、どれだけの器かわかるだろう』と言っていました。

 横山典騎手は、JRA通算2732勝。武豊騎手に続く、通算勝利現役2位の”レジェンド”ジョッキーです。ミッキースワローは、それほどの騎手にGIを意識されるだけの実力馬、ということ。期待せずにはいられません」

 セントライト記念以降は勝利から遠ざかっているが、むしろ横山典騎手の評価は上がっているという。

「ジャパンC(11月25日/東京・芝2400m)の前には、『精神状態がえらい変わった。きかん坊だった馬が1年間で大人になった』(横山典騎手)と、ミッキースワローの成長を認めていました。実際、前走のジャパンCではレコード決着の5着に敗れましたが、上がり3ハロン33秒9はメンバー最速。ゴール前で追い込んできた脚には鳥肌が立ちました。

 ミッキースワローを管理する菊沢隆徳調教師も、有馬記念を前にして『前走以上を』と期待をかけるように、中山は合います。自慢の切れ味が生きる展開になれば、大物食いも夢ではありません」

 片や、吉田記者は「ファン投票で人気の上位10頭の枠に入っていない馬が穴馬として大きな破壊力を持つ」として、”上がり馬”を推奨する。

「妙味があるのは、パフォーマプロミス(牡6歳)です。今年初めのGII日経新春杯(1月14日/京都・芝2400m)を制していますが、同馬を管理する藤原英昭調教師の当時の評価は、『まだ体質が弱く、本当によくなるのはもっと先だと思う』というものでした。

 そして今秋、復帰戦に予定していたGII京都大賞典(10月8日/京都・芝2400m)は感冒のために取り消しとなりましたが、立て直して挑んだGIIアルゼンチン共和国杯(11月4日/東京・芝2500m)を勝利。超スローペース+直線の長い東京コースとはいえ、今まで使ったことのない上がり32秒6という末脚を繰り出しての完勝でした。6歳の秋にして、ようやく完成形に近づいてきたと判断していいでしょう」

 この秋はこれが2戦目。他の馬と比べて消耗は少ない。その分のアドバンテージがあるうえ、さらに「成長も見込める」と吉田記者が言う。

「(パフォーマプロミスの)馬体はより研ぎ澄まされてきた印象を受け、1週前追い切りに騎乗したクリスチャン・デムーロ騎手とのコンタクトも申し分ありませんでした。真一文字に伸びて、僚馬を一気に突き放す豪快なデモンストレーションは、多大な上積みの証明と言っていいでしょう。少しでも時計がかかる流れになれば、一発の魅力は十分です」

 吉田記者はもう1頭、ここに来て調子を上げてきた鞍上を迎えてグランプリに挑む、モズカッチャン(牝4歳)にも熱視線を送る。

「12月に入ってからのGI3戦のうち、ミルコ・デムーロ騎手が2勝。同騎手が鞍上を務めるモズカッチャン自身も、ようやく状態が上がってきました。100%に近づくのは、詰めて使ってきた時。ここに来てやっと好調時とそん色のない攻め気配を示しており、ひと叩きされての上積みも絶大です。中山が得意のM・デムーロ騎手を背にして、変幻自在に立ち回れる強みを生かせれば、大いにチャンスはありそうです」 平成最後の”ドリームレース”。「高配当」という名の豪華クリスマスプレゼントを届けてくれる”使者”が、ここに挙げた3頭の中にきっといるはずだ。