東京〜富山間の往復1000kmにおよぶ試乗でフランス車の乗り味や個性について体感できたところで、その個性はどこからくるのか? ほかの輸入車と比べてフランス車を選ぶメリットは? といった疑問を、輸入車の事情にも詳しい自動車ジャーナリストに聞いてみた。

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自動車ジャーナリスト川端由美



自動車の環境問題と新技術を中心に執筆するほか、海外の展示会の取材も積極的に行なう。International Engine of the Year選考委員のほか官公庁の有識者委員などを歴任。

こんなに売れている! 急成長を続けるフランス車







グラフを見てもわかる通り、2013年からフランス車の販売台数は各社ともほぼ右肩上がりの成長を遂げている。フランス車の持つ魅力とコストパフォーマンスの高さが市場に評価されていることの現れだろう。

フランス車が支持される3つの理由



reason 1 国産車ともドイツ車とも違う、日本の道に合った絶妙のバランス

reason 2 ドイツ車と比べて100万円安い(!?)高いコストパフォーマンス

reason 3 フランスの道が育てたなめらかな乗り心地

ちょっと良くて“ちょうどいい”選択肢が揃っている



近年、フランス車の販売が伸びている理由の1つは、BセグメントやCセグメントと呼ばれるコンパクトなクラスに注力してきたことでしょう。

国産車でいうと『フィット』や『アクア』といった車種は、グローバルモデルという位置付けもあって日本向けに開発されているわけではありません。かといって、それよりもちょっといいクルマに乗りたいと思うと、国産車にはあまり選択肢がない。以前ならそういう層が『プリウス』に行っていたのでしょうが、現行の『プリウス』はいくつかオプションを付けたらすぐに300万円を超えてしまう。それなら、ちょっとオシャレな輸入車を……という人にはシトロエンの『C3』などはちょうどいい選択肢になっているのではないでしょうか。

この市場はボルボの『V40』が開拓したといえますが、『C3』はその良きライバルになっているといえるでしょう。実際に『V40』から『C3』への乗り換えも結構あると聞いていますし、選択肢があることで市場が活性化されるという好循環を生んでいます。



『V40』と比較すると『C3』のほうがリアシートは広いですし、外観やインテリアのデザインも手がかかっている。エアコンの吹出口などまで流用ではなく、きちんとデザインされているのはフランス車らしいポイントだと思います。コストはその分かかるはずですが、そうした部分にも手間をかける姿勢というか、妥協せずに作り込んでいる点がユーザーに評価されているのでしょう。

近年、人気のSUVにしても国産車なら総額300万円程度から選べますが、ちょっといいクルマというか、ご近所とかぶらない車種を選ぼうとすると選択肢は限られてきます。

かといってドイツ車を買おうとすると500万〜600万円の支出は覚悟しなければならない。それがプジョーの『3008』ですと400万円程度で購入できます。それでいて、プジョーやDSの新しいプラットフォームはよくできていて内装などの質感も高い。国産車プラス100万円くらいの予算で、ちょっといいクルマが手に入るのであれば、ドイツ車と比べても奥さんを説得しやすいのではないでしょうか。

フランスの道が育てた乗り心地





乗り心地の面でいうとフランス車は「フラットライド」と呼ばれる、ちょっと荒れた路面でも平らな道を走っているかのような快適性が特徴です。

具体的には車格に対してホイールベースが長めに取られていることと、路面にタイヤを押し付けるようなダンパーのセッティングがポイント。路面の凹凸を拾うとバネが縮んで、その後に伸びますが、その伸びる側のダンパーが効いているので凹凸をいなすように走れるんです。

この特性はフランスの“B級国道”と呼ばれるあまり整備が行き届いていない道が育てたもの。ちょっと荒れて凹凸があるような道を長時間乗っても疲れない足回りに仕上げられているのです。その辺りの特性は、整備の行き届いた平らな道が多いドイツ車とは対称的です。

ドイツのアウトバーンはそれこそ飛行機が離発着できるようにという設計思想で作られていますから、コンクリートでしっかりと下地が作られていて、そういう道を200km/hで走ることを想定してドイツ車の足回りも仕上げられています。その完成度はもちろん素晴らしいのですが、日本の道、特にちょっと郊外や地方に行ったときに出会う道はどちらかというとフランスの道に近い。

200km/hで飛ばすような使い方をする人も少ないでしょうから、そういう意味ではフランス車の足回りのほうが日本で使うのには向いているのです。

売れている&注目度の高いフランス車3選





シトロエンC3

個性的なカラーも人気のポイント

価格:219万円〜

2017年の国内発売より高い支持を集め、フランス車人気の牽引役となっている車種。ルーフとボディ、ミラーのカラーの組み合わせで、豊富なバリエーションを選ぶ楽しみも。



ルノー カングー

遊びの道具を詰め込める

価格:249万9000円〜

「遊びの空間」というコピーの示すとおり、広い荷室空間を持ち、様々な遊びや使い方に対応。長くフランス車のセールスを支えてきた人気モデル。元はフランスの郵便配達車だ。



プジョー3008

FFだけど走破性も高い

価格:357万円〜

近年の世界的なSUV人気もあって、プジョーの躍進を支えているモデル。駆動方式はFFだが、ラゲッジ容量が520L(後席を倒せば1482L)と大きいため、キャンプなどでも活躍しそう。

関連サイト



NEW CITROËN C3

ルノー カングー

Peugeot SUV 3008

text増谷茂樹