駅や電車内のマナーに関するアンケートで迷惑行為の1位になったのは「荷物の持ち方・置き方」だった(U-taka/PIXTA)

満員電車の中でリュックサックを肩からかけたり背負ったりすることが、自分では気づかないうちに周囲の乗客の迷惑になることがある。ビジネスシーンにマッチする「ビジネスリュック」が人気を集めるにつれ、この「背負いリュック」を迷惑に感じる人も増えている。

全国72社の私鉄が加盟する日本民営鉄道協会(民鉄協)が12月20日に発表した「駅と電車内の迷惑行為ランキング」によれば、1位は「荷物の持ち方・置き方」。2位は「騒々しい会話・はしゃぎまわり」、3位は「座席の座り方」という結果だった。

背負いリュック、迷惑行為1位に

「荷物の持ち方・置き方」は2009年には12位だったが、年を重ねるごとに順位を上げ、昨年は2位(11月5日記事『迷惑度「急上昇」、満員電車の背負いリュック』)、そして今回1位になった。

また、「荷物の持ち方・置き方」の内訳は、「背中や肩のリュックサック・ショルダーバッグ等」が昨年は55.2%で全体の半分強だったが、今回は66.2%と全体の3分の2に迫った。

ほかは「座席に置かれた荷物」が9.0%、「床(足もと)に置かれた荷物」が8.3%、「傘(濡れ傘・先端を向けられる等)」が6.1%、「乱暴なキャリーバッグの運び方」が3.9%などとなっている。

背負いリュック問題が突出して高く、しかもあらゆる迷惑行為のトップに躍り出たわけだ。


リュックを背負っていると、自分の後ろにいる人がどう感じているかはわかりにくい。満員電車であれば、「自分の前に立っている人のリュックがぶつかって痛い」と感じる人もいるだろう。

民鉄協・総務広報部の富井裕広報主幹は、「混雑している列車に乗ったら周囲を見渡して、迷惑にならない持ち方を考えてみてほしい」と話す。JR西日本など関西の鉄道事業者は「車内でのリュックサックは、前に抱えるか網棚の上に置くなど、他の方のご迷惑にならないようお願いします」と呼びかけている。

「最近は若いビジネスマンが“背負いリュック”で通勤するようになってきた。これを苦々しく感じる中年ビジネスマンもいるのでは?」。ある鉄道関係者はこんな見方をする。

確かに一昔前のビジネスバッグといえば、手提げタイプが一般的だったが、その後はショルダーバッグが普及し、今やさらに便利なビジネスバッグに取って代わりつつある。今なお手提げバッグで通勤するビジネスマンから見れば、「自分はマナーを守っているのに、最近の若い者は」と不満に感じるのは理解できなくもない。

マナー改善の兆しも

とはいえ、今回のアンケートからは将来に希望を持てる結果もうかがえる。

「駅や電車内のマナーについて、以前にくらべて改善されたと思いますか」という設問に対して、「変わらない」が43.9%と大勢を占めたものの、28.3%の人が「とても改善された」「少し改善された」と回答。「少し悪化した」「とても悪化した」の24.7%を若干上回った。傾向としては改善に向うといってよい。

過去のランキング推移を見ても、「ヘッドホンからの音もれ」が2009年の2位から今年は5位に順位を下げた例もある。乗客一人ひとりが周囲に気を配って迷惑にならないようにすることで、改善に向う例は確かにある。

とはいえ、ある迷惑行為が改善されると、新たな迷惑行為が登場するのは世の常ともいえる。電車内のマナー向上には不断の努力が欠かせない。