いよいよ平成最後のGI有馬記念(中山・芝2500m)が12月23日に行なわれる。この年末のグランプリは「ドリームレース」と称されるだけあって、馬券的にも夢を賭けられる舞台である。

 過去10年の成績を見てみると、1番人気が6勝。2着が2回、3着も1回あって、ほぼ馬券圏内を外していない。だからといって、”堅いレース”ではない。3着以内に8番人気以下の人気薄馬が入った年が8度もあり、そのうち4回は10番人気以下の大穴が突っ込んできて、好配当を生み出している。

 なかでも強烈だったのは、2008年。1番人気のダイワスカーレットが他を圧倒する逃げを打って完勝したが、2着に14番人気のアドマイヤモナーク、3着に10番人気のエアシェイディが入って、3連単は98万5580円の大万馬券となった。

 数々の”伝説”が生まれると同時に、そうした歴史的な波乱がしばしば起こるのも有馬記念である。

 ならば今年も、馬券的には年末のビッグボーナス獲得を狙いたい。そこで、過去10年の結果をヒントにして、今年のレースで台頭しそうな穴馬をあぶり出してみたい。

 まず注目したいのは、”上がり馬”だ。

 たとえば、2015年に8番人気で金星を挙げたゴールドアクターはその典型。同馬は、その年の夏にはまだ1000万下の条件馬だった。しかし、1000万下、1600万下と連勝を飾ると、続くGIIアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)も快勝。3連勝の波に乗って、そのまま一気に有馬記念まで制したのである。

 2012年に10番人気で2着となったオーシャンブルーも似たようなタイプだ。同馬は3走前に1600万下を勝ってオープン入りすると、重賞初挑戦となるアルゼンチン共和国で5着と健闘し、続くGII金鯱賞(中京・芝2000m)を制覇。その勢いで、グランプリでの好走を決めた。

 そして今年も、勢いのある”上がり馬”がいる。パフォーマプロミス(牡6歳)とリッジマン(牡5歳)である。ともに魅力的な存在だが、ここではパフォーマプロミスを推す。


勢いあるパフォーマプロミスの一発に期待

 昨年の12月に1600万下を勝ってオープン入りした同馬は、年明け早々にGII日経新春杯(1月14日/京都・芝2400m)を制覇。その後、休み明けのGII目黒記念(5月27日/東京・芝2500m)でも3着と好走した。

 続く初めてGIに挑んだ宝塚記念(6月24日/阪神・芝2200m)では9着に終わったものの、この秋初戦となる前走のアルゼンチン共和国杯(11月4日)を難なく勝利。その勢いで、2度目のGI挑戦となる有馬記念でさらなる飛躍を目指す。

 先述のゴールドアクターもそうだが、近年”出世レース”として注目されているアルゼンチン共和国杯の勝ち馬からは、のちのGI馬が数多く出ている。パフォーマプロミスも、そうした存在に続いてもおかしくない。

 次に注視すべきは、”不振続きのGI馬”の巻き返しである。

 いい例となるのは、2011年に7番人気で2着となったエイシンフラッシュだ。同馬は前年のダービー馬で、古馬になってもGI天皇賞・春(京都・芝3200m)で2着、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)では3着と奮闘していたが、秋になると、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で6着、GIジャパンC(東京・芝2400m)では8着と凡走。続く有馬記念では人気が急落した。

 昨年、8番人気で2着となったクイーンズリングも同様だ。同馬も前年のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制していたが、それ以降は勝ち星どころか、馬券圏内(3着以内)に絡むこともなく、連覇を目指していた前走のエリザベス女王杯も7着と惨敗。有馬記念で人気を得られる状況ではなかった。

 しかし2頭とも、さすがは地力あるGI馬。態勢が整ったグランプリの舞台で息を吹き返したのだ。

 今年のメンバーを見ると、同じく近走で精彩を欠いていて人気が落ちそうなGI馬が何頭かいる。その中で狙ってみたいのは、マカヒキ(牡5歳)だ。

 エイシンフラッシュと同じ、ダービー馬である。しかしマカヒキは、2016年に世代の頂点にたったあと、世界最高峰のGI凱旋門賞(フランス・芝2400m)に挑戦して惨敗。以降、不振に陥り、骨折などのアクシデントもあって、思うような結果を出せていない。

 2走前のGII札幌記念(8月19日/札幌・芝2000m)では2着と好走して復活の気配を見せたが、前走の天皇賞・秋(10月28日)では再び7着と完敗。おかげで、今回も上位人気は見込めない。

 だが、有馬記念では人気落ちのGI馬が、何度となく奇跡的な復活を遂げている。加えて、マカヒキは中山で2戦1勝、2着1回という好成績を残している。ダービー馬ゆえ、”東京でこそ”というイメージが強いが、実は中山こそ得意舞台の可能性がある。

 大観衆が見守る最後の直線。マカヒキが中山の急坂を一気に駆け上がり、ライバルたちを蹴散らしても不思議ではない。

 最後にピックアップしたいのは、GI勝ちはないものの、一線級とも互角に戦ってきた”バイプレーヤー”の食い込みだ。

 2008年に10番人気で、2009年には11番人気で、いずれも3着に入ったエアシェイディがその例となる。同馬は2歳時にオープン戦を勝った実力馬。3歳秋に1600万下を勝ったあとは、ずっとオープン、重賞戦線で奮闘してきた。

 また、2015年に5番人気で2着となったサウンズオブアースもそうだ。3歳春のGII京都新聞杯(京都・芝2200m)で2着になって以降、重賞戦線で一線級と渡り合ってきた。

 だだ、どちらもGI勝ちはなく、サウンズオブアースに至っては重賞勝ちさえなかった。GII、GIII戦でも、人気を得ながら取りこぼすことがあった。そうなると、豪華メンバーが集う有馬記念ではさすがに軽視されてしまうが、2頭ともGIでも善戦を繰り返していたのは確か。

 実際、エアシェイディは、2008年には前走の天皇賞・秋でコンマ1秒差の5着、2009年も前走のジャパンCでコンマ6秒差の5着と健闘。サウンズオブアースも、前走のジャパンCでコンマ3秒差の5着と善戦していた。すべてがうまくかみ合えば、上位に進出できる可能性は秘めていたのだ。

 こうしたタイプに近い馬が、今年もいる。ミッキースワロー(牡4歳)だ。

 昨年のGIIセントライト記念(中山・芝2200m)を制して、その後も重賞戦線で一層の活躍が期待されたが、それ以来、ここまで未勝利。GIでは及ばず、重賞では好走するときもあれば、人気を裏切ることもあった。

 それゆえ、今回も伏兵扱いの1頭にとどまりそうだが、前走のジャパンC(11月25日)では5着と掲示板入り。メンバー最速の上がりを繰り出している。同馬もまた、中山を得意とする。有馬記念での一発を期待してみるのも悪くない。“平成最後”という記念すべき一戦。だからこそ、今年の有馬記念でも何かが起こりそうな雰囲気がある。はたして、新たな奇跡や伝説が生まれるのか。そこに、ここに挙げた3頭が絡んでくることを祈りたい。