国際ガストロノミー学会の最高位を「NARISAWA」成澤由浩氏が受賞

国際ガストロノミー学会の権威あるアワードであり、最も食の芸術史を極めたと評価されるシェフに贈られる「Gran Prix de l‘Art de la Cuisine(グランプリ ドゥ ラート ドゥ ラ キュイジーヌ)」を、南青山の「NARISAWA」のオーナーシェフである成澤由浩氏が受賞し、その表彰式が12月17日(月)開催された。
国際ガストロノミー学会とは、国連(FAO)、UNESCO、EU等と連携しながら世界の国々の地域における「食文化の伝統を守り」つつ、その「発展」に寄与するとともに、「現代料理の芸術的創造性を奨励する」目的で設立された国際的組織で、今回成澤シェフに贈られた賞は、「フレンチの神様」ジョエル・ロブション氏や「史上最年少3ツ星獲得シェフ」のアラン・デュカス氏、「“世界一予約がとれない”とされた伝説のレストラン「エル・ブリ」の料理長フェラン・アドリア氏など、名だたる料理人に贈られてきた国際ガストロノミー学会の中でも最高位の賞となる。
”ガストロノミー”とは、美食と和訳されることが多いが、同アカデミーでは料理を食することに留まらず、ガストロ、すなわち胃の知識を正しく持ち、食を中心とし、美術や社会科学、さらには医学や自然科学など様々な文化的要素によって構成される分野として定義づけられている。
「Gran Prix de l‘Art de la Cuisine」を受賞した「NARISAWA」の料理は、“イノベーティブ里山キュイジーヌ”という独自のスタイルを確立し、世界中で培った味わう喜びとともに、自然の再生と健康な環境というメッセージを発信する。今回の受賞を始め、料理界のアカデミー賞と呼ばれる「The World's 50 Best Restaurants」に10年間連続で選出、2010年にはスペインの世界最高峰の料理学会Madrid Fusionにて、「世界で最も影響力あるシェフ」に選ばれるなど、世界的にも認められている。
今回の受賞について成澤氏は、「人と自然が共存し、寄り添いながら生きてきた”SATOYAMA”について、日本人として感じたこと、勉強したことを素直に表現してきました。日本だけではなく、地球全体が、自然との共存や関わり合いについてもう一度考えるきっかけとなれば嬉しく思います。」と話した。
式典では、辻調グループ代表の辻芳樹氏、一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団 理事長のC.W.ニコル氏、fragment design主宰を務める藤原ヒロシ氏などが登壇し、各界より祝辞が贈らた他、バスク・キュリナリー・センター館長 ホセ・マリ・アイセガ氏や、プライベートでも親交の深いレストラン「エル・ブリ」 料理長のフェラン・アドリア氏、ドン・ペリニヨン 醸造家のリシャール・ジェフロワ氏からも、海を超えてビデオレターの祝辞が贈られた。
■国際ガストロノミー学会(Academie Internationale de la Gastronomie)
国連(FAO)、UNESCO、EU等と連携しながら世界の国々の地域における「食文化の伝統を守り」つつ、その「発展」に寄与するとともに、「現代料理の芸術的創造性を奨励する」目的で設立された国際的組織。国際ガストロノミー学会の前身となるベルギー王立学会が1983年、イタリアガストロノミー学会が1953年、スウェーデン王立学会が1958年、スペイン王立学会が1980年に創立され欧州を中心に食にまつわる幅広い活動を展開し世界の食文化発展に大きく貢献。ヨーロッパ各国のロイヤルアカデミーの活動を基盤に1983年、各国から一団体だけ公式アカデミーを選定し『国際学会』として組織化。現在、世界24カ国、28の学会を傘下に持つ。日本はアジアで最初の支部。
2011年にアジア初のアカデミーとして創立され、2年の活動期間を経て正式に21番目の参加国として国際議会に承認された。2013年、国連専門機関のひとつである国際連合食糧農業機関(FAO)と連携し、共同で食糧と栄養に関する教育、情報提供及び啓蒙を支援することを発表するなど、今後の展開が世界中から注目されている。国際ガストロノミー学会の指針に従い、日本の食文化、食材、調理技術、栄養的側面を世界に正しく発信し、食による国際交流を深めること、日本食/日本のシェフを海外に発信すること、47都道府県の各地域における食文化、伝統等を繼承し発展させることを目的に活動を行う組織。サスティナブルガストロノミー(持続可能な食)の次世代教育を推奨し、日本が国際社会の中の一員として世界に貢献していくプログラムを開発。