11月のノルウェーとの国際親善試合(○4-1)で、なでしこジャパンは今年の活動を打ち上げた。しかし、来年6月にはFIFA女子ワールドカップフランス大会が控えている。高倉麻子監督が就任時から、「もう一度世界一に」と目標に掲げる大会だ。


U-20W杯で活躍した植木理子(右)と代表復帰をかける北川ひかる(左)も招集された

 大会に向け残された時間が少なくなる中、12月3日〜7日の日程で高倉監督は、新たになでしこ入りの可能性を秘めた23名を集めて、「なでしこチャレンジトレーニングキャンプ」を行なった。このキャンプは今年2月にも開催されており、異例とも言える今年2回目の招集に、それだけ新戦力を切望する指揮官の心情が伺える。

 実際に前回のキャンプメンバーから阪口萌乃(アルビレックス新潟L)、三浦成美(日テレ・ベレーザ)らが、なでしこジャパン入りを果たしている。今回も元代表選手や、ユース世代からフレッシュな面々にチャンスが与えられた。

 夜にはミーティングでなでしこジャパンとして求められる資質、レベル、戦術などを落とし込み、何を求めて次のトレーニングに入るのかという意識改革も徹底された5日間。FIFA U-20女子ワールドカップ優勝メンバーからも6名が招集された。

 その中には、所属する日テレ・ベレーザで、そして世界の舞台を経験し、著しい成長を見せている植木理子の名前もあった。彼女の魅力はやはりその決定力にある。どんな体勢であっても、ゴールへねじ込む”強さ”は、今なでしこジャパンにとって喉から手が出るほど欲しい要素だろう。U-20女子ワールドカップでも5ゴールを挙げる活躍を見せたが、それでも本人は納得していない。

「決勝で点を獲っていないというのは、悔しかった。チームが優勝したことはうれしいことですが、個人としてはまだまだだと思う大会でした」(植木)

 だからこそ、うまさよりも、決めることを何より重要視する。

「GKがここで打つだろうと予想するタイミングを外して、シュートを打つことは心がけています。強いシュートでなくてもタイミングでゴールは生まれるので」(植木)と、豪快なゴールを想像させるプレーとは異なり、至って冷静。彼女が目指すストライカー像は実にシンプルだ。”大事な試合で点を決められる選手”――そこへ辿りつく近道はない。「すべてが積み重ね」なのだと語る。そして最後に「積み重ねます!」と植木は笑顔を見せた。

 同じくヤングなでしこから招集された林穂之香(セレッソ大阪堺L)も、地元男子高校3年生との練習試合では得意のミドルシュートを決めるなど、的確なポジショニングと素早い判断力を発揮、初なでしこ入りを目指す若手が全力アピールした。

 その一方、返り咲きを狙う選手もいた。北川ひかる(アルビレックス新潟L)もそのひとり。ユース年代から高倉監督のもとで代表経験を積んできた。2016年のFIFA U-20女子ワールドカップを戦った後、北川は手薄な左サイドバック要員としていち早くなでしこジャパンに引き上げられた。しかしケガに泣かされ、復帰してはまたケガを負い、定着する前にメンタルが崩れてしまった時期もあった。今回のなでしこチャレンジへの招集は願ってもない代表復帰への足掛かりだ。力が入らないはずがない。

「もう気弱なところはないぞ!という気持ちで臨みました。どんなにプレッシャーが強い相手でも、ビルドアップを狙う意識はなくさないように。持てる力は出し切りました」と、劣勢であってもアグレッシブに攻撃参加をする姿勢を最後まで貫いた。

「(W杯のメンバー構成は)これまでのメンバーが90%以上かなと思っていたんですが、今回その数字は80%くらいに下がっています」と想定以上の手応えだったと言わんばかりに充実した表情を見せた指揮官。このキャンプから2019年になでしこ入りを手にする選手が数名現れそうだ。

 2月下旬からは例年参加しているアルガルベカップに変わって、アメリカで開催されるShe Believes Cupに参戦することが決定しているなでしこジャパン。奇しくも、先日発表されたワールドカップ本大会の組み合わせで、日本と同じグループDに属するイングランド(他はスコットランド、アルゼンチン)といち早くここで対戦することになる。なでしこジャパンにとって大きな1年となる2019年は、熾烈なポジション争いで幕が開きそうだ。