2歳GIの朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)が12月16日に行なわれる。

 ここに、牝馬のグランアレグリア(牝2歳)が、先週行なわれた「2歳女王決定戦」となるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)をパスして、果敢に挑戦してきた。そして、断然の1番人気と目されている。

 思えば、2年前にも牝馬のミスエルテが参戦。その際も、有力牡馬を押しのけてミスエルテが1番人気に推された。

 話題のフランケル産駒だったこと、前走のGIIIファンタジーS(京都・芝1400m)での勝利が鮮やかだったことが、その要因だ。しかし、ミスエルテはそれまでに牝馬としか対戦してこなかった。それを思うと、やや過剰人気といったきらいがあって、結局4着に敗れた。

 だが今回は、それとはわけが違う。これまで2戦2勝のグランアレグリアは、ともに牡馬相手に勝ち上がってきた。しかも、前走は重賞、GIIIサウジアラビアロイヤルC(10月6日/東京・芝1600m)である。来春のクラシックを見据える期待の牡馬も集うなか、後続に3馬身半差をつける圧勝劇を演じたのだ。

 さらに、新馬戦(6月3日/東京・芝1600m)で圧倒したダノンファンタジー(牝2歳)が、阪神JFを勝利。そうした状況を踏まえれば、ここで高い支持を得るのも頷ける。ミスエルテとは違って、”過剰人気”といった印象もない。

 そうなると、穴党の出番はないのか。

 過去10年の1番人気の成績を見てみると、4勝、2着2回、3着1回、着外3回と、70%が馬券圏内(3着以内)に入っている。この数字と実績を鑑みて、グランアレグリアも大崩れすることは考えにくい。穴党にとって、厳しい状況にあるのは確かだ。

 ところが、過去10年の3連単の配当を見てみると、万馬券以上が8回。そのうち、20万円台が1回、10万円台が2回あって、2014年には1番人気のダノンプラチナが勝利しながら、13万3570円という好配当となった。ならば、穴党の出番がないわけではない。

 加えて、実は大本命のグランアレグリアにも不安がないわけではない。というのも、朝日杯FSに挑むのは、もちろん勝算があってのことだろうが、香港国際競走に臨む主戦のクリストフ・ルメール騎手のスケジュールに合わせて、あえて阪神JFをスキップしたからだ。スポーツ報知の坂本達洋記者がその内情を伝える。

「グランアレグリアを管理する藤沢和雄調教師は、今回のレース選択について『ちょっと難しい馬だから、(ずっと乗っている)ルメールに合わせて……』と説明していました。まあ、ルメール騎手なら不安はないと思いますが、前走で見せた出遅れや行きたがる面があるのは確かです」

 では、今回の朝日杯FSでは、どの馬が波乱を起こすのか。日刊スポーツの松田直樹記者は、その候補にマイネルサーパス(牡2歳)を推す。

「デビュー3戦目で初勝利を挙げて、続く500万特別のきんもくせい特別(11月4日/福島・芝1800m)も勝って連勝。同レースでは、2歳レコードを2秒も更新して快勝しました。

 たしかにそれまでは、抜け出すとソラを使って、外によれる悪癖がありました。それは、相手がそこまで強くなくて、馬が真面目に走っていなかったため。完全に抜け出して勝った未勝利戦でも、ゴール寸前で斜行してしまいましたが、それも最後まで集中力が持続していないからです。

 でも、そんな幼さもレコード勝ちした前走で解消されたと思います。また、前走ではそれまでの先行から差しへ。同馬の気性を見抜いた陣営の、脚質変更が見事にハマりました。3、4角では大外を回ってグングン伸びて、直線でもそのまま伸び切っての鮮やかな差し切り勝ちでした。

 2着に退けたダノンチェイサーは、2017年のセレクトセールで2億5000万円(税別)で落札された超素質馬。強い相手が前にいれば、その分だけ、伸びるんです。着差はハナ差でしたが、内容自体は完勝でした。

 今度は、グランアレグリアをはじめ、3戦無敗のアドマイヤマーズ(牡2歳)、ファンタジスト(牡2歳)らがいます。相手強化こそが、この馬の潜在能力を引き出すのではないか、と期待しています」

 坂本記者も、同じくマイネルサーパスに注目している。

「差し有利な展開になった場合は面白いと思います。前走は”裏開催”の福島のレースだったとはいえ、決してレベルの低いレースではありませんでした。絶対的な瞬発力は未知数ですが、うまくハマれば、ここでも上位に食い込む可能性は十分にあると見ています。

 鞍上は”いぶし銀”の丹内祐次騎手。父アイルハヴアナザー、母父タマモクロスという血統も渋く、人気になりにくそうな点がまた、穴党にとっては大いに惹かれます」

 坂本記者はもう1頭、気になる馬がいるという。


これまで6戦して馬券圏内(3着以内)を外していないディープダイバー

「ディープダイバー(牡2歳)です。まだ1勝馬ですが、決め手のある馬が多いメンバー構成にあって、前目で積極的に運べる点が魅力です。前走の500万特別・秋明菊賞(11月18日/京都・芝1400m)でも、きれいに好スタートを決めて、すんなりと2番手をキープしました。

 ただ、その前走では、直線で同馬の直後でマークしていたローゼンクリーガーにうまくかわされてしまいました。実はその際、ディープダイバーは追い出されてから、内にもたれ気味でした。普通に伸びていれば、十分に勝てていた内容。その辺の課題がクリアされていれば、一発あっても不思議ではありません」 一時、牝馬が出走できない期間もあったが、このレースで牝馬が勝ったのは1980年のテンモンが最後。グランアレグリアが38年ぶりの快挙を達成する瞬間も見てみたいが、”ドリームレース”有馬記念を前にして、その資金を潤沢にするためにも、ここに挙げた穴馬たちの激走にも期待したい。